5008のAdBlueタンク不調に伴う修理を実施してきました。当初予定どおり、AdBlueタンクとインジェクターの交換の作業です。懐にはダメージを負いましたがまぁ仕方ありません。
もともと作業は数時間で完了するとのことで、ディーラー店舗で軽い業務をこなしながら待てばまぁ良いかと思っていたところ、代車を貸してくれるとのことだったのでありがたくお借りしました。
代車は懐かしの初代208

今回提供された代車は2013年式の初代PEUGEOT 208 Premiumです。このモデルは2012年11月に発売されているので、2013年式のこの個体はほぼ最初期モデルにあたります。導入当初は4グレード設定で、5ドアは上級グレードのCieloと、量販グレードのPremiumの2種類が用意されており、両者の大きな違いはパノラミックガラスルーフの有無。この個体は非装備なのでPremiumで間違いありません。
当初2時間程度で終わると伝えられていた作業はもう少し時間がかかるとのことだったので、この208を顧客訪問のアシとして100kmほどの行程に連れ出します。せっかくなので、往路は一般道・復路は高速道路を走って久々の208を堪能してみます。

ちなみにこの個体の総走行距離は約7.6万kmと少しくたびれ気味。エンジンマウント劣化に起因する微振動やロアアームブッシュの劣化と思わしきフロント足回りからのゴトゴト音がありましたが、致命的な故障・不具合は見当たりません。むしろ軽くコンパクトなボディの恩恵は絶大で、久々に『軽快に走るクルマ』の良さを味わえたことに思わず顔がほころびます。
ちなみに燃費はメーター読みで15km/Lとまずまずのスコア。昨今の大雪で道路状況が悪く街中の道路が混雑気味だったのにこのスコアはまぁ悪くありません。
悪名高きPrinceエンジン…でもこの個体は問題なし

さて、最初期の208を借りてすぐに『もしや・・・』と思いボンネットを開けてみると、案の定この個体はPrinceエンジン搭載でした。
BMWとGroup PSAで共同開発されたこのPrinceエンジンはデビュー当初こそ注目を集めた一方で、タイミングチェーンとテンショナーの不具合に起因するエンジンブローがたびたび話題になります。
これはロングライフ想定のオイル交換だとオイルの劣化・汚れが進みやすく、油圧で作動する機構が追従しなくなるというもの。そのため、それ以外にもオイル消費の増大や可変バルブリフト機構の不調などあらゆる箇所が不調になると言われています。
で、今回借りた個体はどうだったか。7万km・車齢12年ですが、エンジンマウントを除けば全体的な調子に首を傾げる場面はありませんでした。最高出力120ps・最大トルク160Nmというスペックは1,160kgの車体には十分で、街中・郊外・高速走行どの場面でも『これでOK』と思えるものでした。
思ったほど『うわぁ~』ではなかったAL4

もうひとつ、初期型208といえば・・・と思い浮かぶ要素がトランスミッションです。AL4と呼ばれる4速ATが搭載されています。古めのGroup PSA車ではお馴染みのユニットで、1997年にデビューしたもの。AT比率の高い日本国内での評判は良いとは言えません。
その悪評?の中身は『故障が多い』『シフトショックが目立つ』『加速が鈍い』などあらゆる不満が多いもの。結果的に『AL4が搭載されている中古車は気をつけろ』とまで言われるほどです。ただ、2012年登場の208には改良が進んだものが搭載されているようです。
では現車はどうだったか。結論から言えば、現代のATと比べるとハッキリと粗い仕上がりです。思っていたよりシフトショックは少なめだったものの、現代基準から言うと大きめ。そのショックをすっ飛ばすようにコントロールして運転できればさほど気にするものではありませんが、それは一部の変態さんの話であって・・・普通のドライバーなら違和感を感じるものでしょう。
それよりも4速しかないというのが足を引っ張る要素だと思います。決して多段ATが優れているとは言い切れず、4速であっても十分な走行性を有したモノもありますが、208搭載のAL4はずいぶんとエンジンを回すギア比となっており、高速巡行時は3,000rpmあたりを行ったり来たり。遮音がそこまで念入りに施されていない208はやや騒々しい印象です。
街中のアシとしてならギリギリOKでも、高速を淡々と走る用途には向きません。その点、初期型は5速MTを選んだほうが幸せになれそうです(ただし3ドア限定になってしまう…)
シンプルであることの美点

じゃあやっぱり初代208は『古くさいクルマ』という印象だけだったのか。答えはNoで、『シンプルであることの美点』が生きていると思います。この感覚は現代のコンパクトカーですらなかなか味わえないものでしょう。
エンジン・トランスミッションに古色蒼然としたものを感じつつ、ふと『でも普段乗る分にはこんなクルマで十分だよな』と思えるのがこのクルマの美点。ドアを開けてシートに座り、キーをステアリングコラムに差し込んで…という手順すら『あぁなんか久々だな』と思うほどですが、それ以外に何かをしなきゃいけない操作がゼロ。装備てんこ盛りで画面タッチ操作を強いられる現代車と違い、操作に迷うものがほとんどない。その身軽さが逆に心地よく感じるのです。

必要十分な動力性能を持ち、1人で乗るには十分なスペースがあり、コンフォートで軽快な乗り味を持っており、扱いやすいボディサイズである。ハンドリングは素直で特に飾った要素はありませんが、ボディはしっかりしており安心感もあります。普段は重量級のアコードと5008に乗っていることもあり、なおのこと『これで十分』と思えてきます。
DS3(PureTech+ETG5)を思い出す
このひらひらと走る感じ…。思い出すのは、ヨメ氏が以前所有していたCITROËN DS3です。基本設計は208より少し古いものでしたが、搭載されていたパワートレインは初代208と同一のもの。我が家の個体は中期型でPSAが新開発した1.2L 3気筒エンジンと2ペダルMT(ETG5)が組み合わされた仕様でした。
詳しい中身は以前の記事に譲るとして、この小型で軽快な走り味は深く記憶に残るほどのもので、私の性格ではこういうクルマをぶん回して走るほうが性に合っているんだなぁと再認識しています。
なぜかそそられるフレンチコンパクト

ちなみにDS3の記憶をもとに208を評価すると、運転の楽しさはDS3に軍配が上がりますが、万人向けの完成度という点では208のほうが明らかに上です。尖った要素は少ないながら、全体がそつなくまとまっています。強いて言えばi-Cockpitを採用しているためインテリアは賛否両論あるでしょうが、ドライビングポジションのカバー範囲含めて慣れで片付くレベルと思っています。
うーん、こうやって考え出すと思うことがいろいろ。久々に悪い病気発動か…?




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