5008を出張のお供にしてみた

PEUGEOT 5008
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納車直後のマイナートラブル発生で出鼻をくじかれた感がありますが、めげずに納車前に検討していたことを続々実行しています。そのうち、まず最初にやろうと思っていたのが『出張のアシとして使ってみる』ことです。

その理由はふたつ。ひとつは市街地走行ではわからない特徴や欠点を知っておきたかったこと。本来なら購入前に試したいところですが、レンタカーで供されている車種でなければまず困難・・・。でも長く付き合うにあたっては早く知っておきたいもの。もうひとつはチョイ乗り連続になる前にしっかりエンジンを回しておきたかったこと。多少なりともカーボン蓄積があるでしょうから、長距離・長時間・平均速度高めの出張移動はカーボン蓄積対策に持ってこいの機会です。なお、今後も月1回程度は業務の用に供しようと考えています。

ディーラー診断の結果:どちらも不具合でした

点検の合間に現行最終モデル?の5008 GTをチェック。もうガソリンエンジンしか選べません。

さて、前回記事で触れたエンジンチェックランプとドア内部からの異音の件。

納車翌日の朝、ディーラーへ電話氏上記症状を伝えたところ即入庫指示となりました。1時間ほど預けてチェックしてもらったところ、どちらも不具合が発生している状態でした。

まず吸気温度センサーは清掃してもエラーが解消されず部品不具合と断定。すぐに部品を発注してもらい後日交換することに。センサー異常状態ですが走行に支障がないと判断し、いったんそのまま乗ることにしました。

ドア異音は・・・まさかのウィンドウレギュレーターのレール固定用ナットが外れていたとのこと・・・。ボルトは刺さっている状態なのですが微妙に振動してしまう状態となりビビリ音が発生していたようです。うーん、納車前に気がつかないもんかなぁ。ちなみに外れた?ナットはドア内に落ちていなかった=どこかへ行ってしまったとのこと。もともとついてなかったのでは、なんて思ったり。

どちらも思わず笑っちゃうような不具合ですし、納車前チェックで気がつかなかったのかと思うところですが直るのであれば何も問題ありません。

5008でロングドライブをしてみよう

ヨメ氏とクルマ交換。

今回は毎週のように走行している片道300kmのロングドライブ。高速道路と山岳路が中心のルートを走り5008の素性を探ってみようと思います。このルートを走るにあたって重要なのはシートや足回りが長時間運転でも疲れにくい仕上げかどうか。特にシートがショボいと復路がとてもしんどくなります。

他の所有車両の場合、合格レベルはF60とオーリス、次第点はF39、不合格はR52(ただしあえてぶん回したい気分ならNo.1)という結果。シートと足回りのつくりが良く、長距離走行向きのディーゼルエンジンを搭載した5008はかなり期待できます。

テスト1:高速道路走行

まずは高速道路で250kmの移動です。高速走行時の安定性や音振動、速度管理のしやすさ、追い越し加速性能、ACCやLDW機能の動作状況などを試してみます。

まず、高速走行時の安定性は納車後の印象そのまま。路面追従性の良いサスペンションの恩恵で橋梁のギャップ乗り越え、整備が悪い路面も難なくフラットに走る印象です。その様子はペースを上げても変わる兆候がありません。

街中では軽めに感じるステアリングの印象は高速域で変化し、どっしり感が増してきます。不整路によるステアリングのチョロつきは無縁で難なくまっすぐ走ります。この感覚は今まであまり味わったことのないもので、まんべんなくステアリング重い・常に無味無臭に軽いのどちらでもありません。最初は少し違和感に感じましたが、慣れるとすごく良い感じ。

そして一番関心したのが、体感スピードが実速度よりも遅い点。少し飛ばし気味に乗っても『速度出てるなぁ〜』感が少ないのです。その理由は前述の足回りの仕立てが良い点に加え、エンジンとパワートレインに起因する音・振動が室内にあまり入ってこない点、風切り音が意外と少ない点があります。室内空間に耳障りな音が反響するような様子もありませんでした。

慣れるまで何度か間違えてレバー操作してしまいました

次にADAS関係。こちらは明確な欠点はありませんでした。

アダプティブクルーズは巡航→前車認識→減速→追従→再加速の一連の動作に唐突さや乱暴感がなく、安心できる制御です。ただし、ACCの操作はウィンカーレバーのそばにあるレバーの存在は少し疑問。PSA系車両ではお馴染みの別体レバーですが、位置関係に慣れないととても使いづらいのです・・・。ステアリング上のスイッチにはあまり使わないものもありますから、いっそステアリングに全てを統合してくれた方が良い気がします。

レーンアシストも同様に唐突感は低め。ステアリング修正の介入は穏やかで無理矢理戻されている感じが少ない制御です。白線認識はまぁ悪くないかな、というレベル。はみだし警告もあっさりしており、いちいち煩わしいなぁと思わずに済みます。個人的にはこれぐらいで十分かと思うものです。

テスト2:山岳路

プレス写真より。開口部はかなり大きめ。

高速道路を降りた後はカーブとアップダウンが連続する山岳路です。このルートを走ると、車体のしっかり感やハンドリング、エンジンの素性などクルマの本質部分を良く知ることができます。

3列シートと大きなリアハッチ、大型ガラスサンルーフを有する5008はボディ剛性的に不利だろうと思ったら、実際はこれっぽっちも問題じゃなかった。特にハイペースで路面のうねりが強いカーブを走る際の車体の動きが穏やかなのが印象的です。

重量があるクルマなりのどっしり感があるのですが、同じくバッテリー搭載で重量級のF60よりも動きは穏やか。F60で同じルートを走ると、コーナリング中に路面のうねりが重なるとフロントがグラッと揺さぶられてどこかにすっ飛んで行きそうな挙動を示すことがあります。一方の5008にはそれがほとんどありません。ペースを上げて走ってみてもロールの発生が不快・不安になるものではなく、ステアリング操作からロールの発生に至る推移に唐突さや不安定感が少ないように感じます。これであれば、後部座席に乗る人の頭が右へ左へ忙しく動く・・・ということはなさそう。

重量のあるディーゼルエンジン搭載で回頭性はイマイチかと思っていたら、意外とハンドリング性能も良く小気味よく走り抜けられて驚きでした。多少頭の重さは感じるものの、明確なネガ要素ではありません。1名乗車&空荷状態では少しリアがバタつく印象がありましたが、多人数乗車でどう変化するのかが気になるところです。

ダイナミック表示をするには設定切り替えが必要(後述)

ついでにドライバースポーツパックも試してみます。シフトレバー手前にあるスイッチをONにするとメーター背景が赤色に変化、ステアリングがグッと重くなり、エンジンはスタート時から強大なトルクを発生させます。スポーツというよりダイナミックという言葉が似合います。やはり、普段の制御は『かなりおっとり』に仕上げられていたのですね。その状態で山岳路を走ると3列シート車とは思えない快活さが現れますが、むしろノーマルモードで良い走りを示しますから、スポーツモードの出番はほとんどないかもしれません・・・。

テスト3:燃費性能

市街地はまぁまぁですが、それ以外の走行であればディーゼルらしさが発揮されますね

往路は高速主体、復路は一般道主体のルート構成にして燃費を計測してみました。どちらもメーター読みの数値ですが、往路は15km/L、復路は23km/L前後という結果でした。往路は積極的にアクセルを踏んで走った結果燃費が落ちましたが、F60とR52とほぼ同じぐらいの燃費性能です。この時点では『もう少し伸びないかなぁ』と思ってしまいました。

ですが復路で驚きあり。あえて高速道路に乗らず一般道を選択、法定速度で流して走ってみたら燃費が驚くほど伸びます。9割以上郊外路のノンストップ走行で、部分計測すると30km/Lに届きそう。ディーゼルの面目躍如です。

これは社用車でもよかったかもしれない・・・

全行程600kmを走った総評として、5008は『あまり疲れないクルマ』でした。全行程600kmを走りきった後でも「まだ走れるかな?」と思えるレベル。これがF60では「少し疲れたな・・・」という具合で、F39やR52に至っては「ああ、疲れた・・・もう休みたい」というぐらいの疲れ感。全体に渡って体感できる穏やかさがそう感じさせない要因でしょう。今まで色々なクルマを乗り回してきましたが、長距離移動のお供としては悪くない選択肢です。

ただしひとつだけ気になる点。身体全体はあまり疲れなかったのですが、手首に違和感(疲れ?)がありました。具合としては1日ずっとキーボードをタイピングしたときの疲れ方に似ています。その要因を自己分析すると、ステアリングの握り方に問題があるのではと考えます。

ステアリングが重めなF60やR52はある程度力を入れてしっかりとステアリングを握るのですが、その感じのまま5008のステアリングを握っていると次第に手首に疲労が蓄積されるようです。厳密にはステアリングの握り角度も違うでしょうから、5008(i-Cockpit)に合った握り方(か、もしくは手首も疲れないドライビングポジションやステアリング位置)を探ってモノにしないとダメなのかもしれません。

もうひとつ気になるのが、インフォテインメントを中心とした操作性がBMW系に一歩及ばないことです。iDriveコントローラーを中心にまとめられているBMW系に対し、タッチパネルと物理ボタンを中心としたi-Cockpitは必要な機能がどこにあるのかがわかりづらい印象にあります。

一番気になったのがご自慢の12インチ液晶メーター。見た目の印象はとても良いのですが機能的にはイマイチ。車両情報を簡単に切り替えて表示してくれれば良いのですが、表示モードを「パーソナル」に設定した上でタッチパネル上の階層を辿って変更…と少し面倒なプロセスを経ないといけません。これはちょっと残念。トリップコンピューター情報のみレバー先端ボタンで一時表示が可能です。

ともあれ、クルマとしては予想以上によくできていました。長時間乗っても疲れず、ドライバビリティも良くて燃費も上々。これで冬道走破能力が悪くなければ、以前真剣に導入検討していた3008が再び気になってくるんだけどなぁ・・・(笑

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