オーリスが離脱した現在、社用車は当面1台体制で行こうと考えていました。業務繁忙期を終えると外回りの頻度はグッと下がるため、F60を共有車両に戻せば問題なし。仮に2台同時稼働があれば私がR52に乗れば何とかなります。まぁそのうち余裕が出来たらもう1台買おうかなと思っていました。
そんな3月のある日、私が担当するクライアントのAさん(仮名)からこんな声かけが。
『カツオさん、ウチのアコード買わない?』
Aさんのクルマ趣味は私と似ている?

Aさんとの付き合いは2018年夏からスタート。業務上のお付き合いが深まる中でお互いにクルマ趣味があることがわかり意気投合。国産のセダンタイプがお好きのようで、複数台を所有されている渋い(?)趣味をお持ちの方です。
翌年春、ご訪問した際に駐車場に見慣れないアコードが停まっており『おっ!』と思い尋ねてみると、増車したとのこと。走行性能の高さや雰囲気の良さに惹かれて購入されたとのこと。アコードつながりで話が盛り上がったのをよく覚えています。
選ぶモデルは違えど、気に入るクルマの方向性は意外と私と共通項があるようで、社用車1号オーリスが納車された後の訪問時には『オーリス買ったの?』と素早い反応。どうやらAさんも初代オーリスのキャラクターには興味がお有りだったようで、クルマの状態や感想などアレコレお話ししたこともあったり。その後ダンパーを換え乗り味が回復したことや、ナビ・オーディオ関係をグレードアップしたことなど、その都度雑談のネタにしていました。
その後、2024年末にオーリスが離脱したことを伝えたところ『え!もしカツオさんが手放す予定があったら譲ってもらおうと思ってたのになぁ〜』と残念がっていたところを見るに、選ぶクルマは違えど趣味はけっこう似ているのかと思ったり。

それから数ヶ月経った3月頭、いつものようにAさんのもとへ訪問すると、アコードの横に見慣れないクルマが。よく見るとVolkswagen Golf VIが停まっています。アレ?もしかして?と思い尋ねてみると・・・以前から気になっていたので買ってきたとのこと。初代オーリスが好みなら、このクルマもバッチリとハマるキャラクターの1台でしょう。さっそく感想を伺うと『乗ってみると想像以上に良く出来ていて、今はコレが一番ですね』とのこと。
で、ひとしきり雑談したあとに切り出された話が、冒頭のアコード譲るよの件でした。あまりにGolfがよく出来ており、それまで所有していた国産セダン3台の出番が激減。そこで、これを機に減車することにしたそう。他の2台はそれぞれ廃車・業者へ売却で進めているそうですが、アコードは私に声をかけようと思ったそう。
実は・・・以前私が『もしこのアコードを手放すことがあったら、声がけしてくださいね〜』とタネを蒔いていたのですが、まさか本当にそうなるとは思いもよらず。Aさんは壊れるまでアコードに乗り続けると思っていましたので、ちょっと驚きでした。
さぁ、このオファー、どうする!?
最後のヨーロッパアコード

歴代アコードの中で特に私が好きなのは7代目と8代目のモデルです。7代目が発売された2003年、ホンダはヨーロッパ市場での存在感を高めるべく、欧州プレミアムブランドに対抗できるアコードを投下。一方で、日本国内はセダン・ステーションワゴン市場はすでに冷え切っており、かつてほどのセールスが見込めない事情もあったためか、日本独自仕様だった先代モデルと異なり、7代目国内仕様はヨーロッパ仕様と共通化されました。
私が7代目アコードワゴンを選んだのは、むしろその方が良いと感じたからです。コンパクトでちょうど良いサイズ感、適度なトルク感と気持ちいいエンジンフィール、スポーティなハンドリング、そしてチープさを感じない内外装など、全体的に好ましいと思えるものでした。ただ、ライバル車と比べて特に劣る部分はないが、もうちょっと独自の魅力があればなぁと思っています。
続く8代目もヨーロッパ仕様と共通設計。時代の流れに合わせてボディは大型化&剛性アップ、より高級志向の内外装や装備を投下しました。とはいえ、ホンダらしい快活なエンジンとスポーティなハンドリングはしっかり継承されており、欧州プレミアムブランドに真っ向勝負を挑むにふさわしいモデルでした。
ただ、そう簡単に勝てる相手じゃありません。ライバルメーカーはより強力な商品力を持つモデルを投入し、アコードはますます大きな差をつけられます。全方位的に開発されたのは確かでしょうが、それが逆に個性・独創性を持たないモデルになってしまったのでしょうか。結果セールスは奮わず、この代をもってヨーロッパ仕様アコードは販売を終了します。そのため、日本導入モデルも9代目以降は北米仕様に一本化されました。
気になる存在ではあるけれど

8代目アコードはホンダがヨーロッパ市場を本気で狙った最後のモデルとして、長らく気になる存在です。ただ、同じコンセプトをもつ7代目モデルからわざわざ乗り換えるほどの理由を見出せませんでした。仮にステーションワゴンの代替を検討するなら、クラス王者のVW Passat Variant、国産車であればスバル レヴォーグを選ぶほうがより満足できる気がします。
人生で1回はセダンを選んでみても?

一方、セダンを選ぶという発想はほとんどありませんでした。自家用車であれば荷室を重視するのでステーションワゴン一択となりますが、顧客から預かった資料や荷物を荷室に積む機会が多い業務車としては、むしろ外部から荷物が見えないトランクを有するセダンは選択肢として『大いにアリ』といえます。
その点、アコードのトランクは467リットル。思いのほか広大なスペースがあり、開口部も広め。F60が450リットルですから、繁忙期の外回りでも問題になることはありません。いざというときにはリアシートを折りたたんで容量を拡大可能です。
(燃費性能以外は)最強2.4Lエンジン

エンジンは7代目と同じ2.4L直列4気筒DOHCのK24Aエンジン。8代目に搭載されるにあたり多少の設計変更が施され、最高出力206ps/7,000rpm、最大トルク232Nm/4,300rpmというスペック。実際に乗るとパワー・トルクともに十分な性能を有しています。ただし燃費性能は現代のスタンダードと比べると悲しいもので、JC08モードで11.2km/Lで、かつハイオク指定。乗って楽しいエンジンなのですが、7代目ワゴンで10km/Lを超えるシチュエーションはほとんどありませんでした。
組み合わされるトランスミッションも7代目からキャリーオーバーされた5速ATを搭載。8代目からは新たにパドルシフトが装備されました。ミッション自体の性能に特筆するような要素はなく、のたっとしておりややルーズな印象です。
スポーティに振られた足回り

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク・ダブルウィッシュボーン形式はそのままで、取付部剛性のアップや減衰力可変ダンパーの新採用が目玉。今やCセグでも採用例が増えた可変ダンパーはハンドリングと乗り心地を両立するものとされていますが、新車当時の評価は『それでも低速域はカタめ』というもの。7代目も同様にカタい味付けでしたが、高速移動が主体ですのでコレで良いと考えます。
純正装着タイヤはブリヂストンもしくはヨコハマOE、サイズは225/50R17 94Vです。オプションの18インチ仕様はMICHELIN PRIMACY HPが装着されていたとのこと。車格や走行性能を考えると、MICHELIN PILOT SPORTかPRIMACYあたりをチョイスすると良い感じなのではと考えます。
サイズアップしたボディ・上級移行したインテリア

外装デザインは先代の流れを汲みながらサイズアップしたボディサイズをよりダイナミックなボディ造形に活かされています。7代目モデルと比較し、全長・全幅は大幅に拡大されていますが、全高やホイールベースはほぼそのまま。一回り大きくなったと言えるでしょう。もう少し色気のある外装であればもう少し人気を博したのかなぁと思うところです。

内装デザインは先代から大幅に刷新され、より上質さを感じられる造形やマテリアルに変更されています。また、ナビゲーションやオーディオ・エアコン操作部が一体化されているのは先代と一緒です。
モニター部が上部に移設され、ダッシュボード中央部に操作系が集中する配置に変更されています。ただし操作性という点ではあまり良いとは言えず、ナビ等を操作するコマンダーはBMWのiDriveのように肘をおいて操作できない位置に配置されているのは扱いづらいなぁという印象です。
で、買うの??

さて、Aさんからのオファー。私の中の直感が『買えよ』とささやいてきます。提示価格はナイショですが、同条件の中古車価格が50〜80万円程度で、それに比べると『とんでもなく激安プライス』の提示でした。ただし3月中に名義変更=2025年分の自動車税をこちらが納付するようにしてもらえることが条件とのこと。それを差し引いても、まだまだお釣りが来ます。
現車チェック前の時点で、私の中の直感が『買え!買いだぞ!』と騒ぎだします・・・(笑
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