海外版アコードのパーツを調べてみる

アコード
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先日記事で日本・海外仕様でオーディオの作り分けがされていることについて触れました。調べてみてけっこう違うことがわかったのですが、それなら他の部分も作り分けされているのか?と思いさらに深掘り。15年以上前に発売されたクルマのマニアックネタが誰かの参考になるとは思いませんが、備忘として残しておきます(笑)

エクステリアの違いは最小限

ヨーロッパには日本仕様に設定のないミラノレッドが存在。日本仕様はバスクレッドパールと呼ばれる落ち着いた色に変更

まずパッと見でわかりやすい違いを判別できるエクステリアから。日本・ヨーロッパ・アメリカとワールドワイドに販売されるアコード(TSX)は基本的に同一のエクステリアになっています。アメリカ仕様はAcura専用グリルやエンブレムに切り替わっていますが、それ以外はほとんど一緒です。

ただし、ボディカラーに違いがあります。各仕向け地設定をまとめると全部で10種類のボディーカラーが用意されていました。日本仕様はAcura版の設定とほぼ同じとなっており、ヨーロッパ仕様のみ独自色が2色設定されています。どちらも7代目アコードで設定されていた色です。

ボディカラー名日本仕様ヨーロッパ仕様アメリカ仕様
プレミアムホワイトパール
ブランシルバーメタリック
ブルーイッシュシルバーメタリック
ポリッシュドメタルメタリック
バスクレッドパール
コバルトブルーパール
クリスタルブラックパール
ロイヤルブルーパール
ミラノレッド
ボルケーノグレーメタリック

アンバー色のウィンカーとヘッドライトウォッシャー

外観上での大きな違いはアンバー色のウィンカーレンズです。ヨーロッパ・アメリカ仕様共にウィンカー部分がオレンジ色となっており、フロントフェイスにアクセントをもたらせています。一方日本仕様はクリア仕上げ。各エリアの法規(ECE・FMVSS)に合わせた対応で、Acura版はサイドマーカーとしての機能も有しています。

ヨーロッパ版はアンバーが推奨されていますがクリアレンズでも良いとされている中であえてアンバー色を採用したのは現地の趣向に合わせているようです。遠くからの視認性は確かにアンバーのほうが良いですからね。日本はウィンカーがアンバー色であれば良いだけなので、ユーザーの好みに合わせてクリアにしたのでしょう。

イギリスの中古車情報サイトより拝借

それよりも羨ましいのがヘッドライトウォッシャーです。ECEルール(1ユニットが2,000lmを超えるものはウォッシャー装備が必須)に適合に合わせてキセノン仕様に装備されるものですが、雪国ではコレがあるとすごく便利なのです。後付けするには相当の労力が必要でしょうから流石にやろうと思いませんが・・・。ちなみに輸入車によくあるフロントスクリーンウォッシャー連動ではなく、スイッチで動作するようになっています。

ちなみに2009年に追加されたType-S仕様は日本仕様と同じくウィンカーがクリア仕様に変更されています。外装は日本の24TL SPORT STYLE仕様に準じたものですから、こちらのイメージに近づけるのもひとつかもしれません。

日本とヨーロッパ後期上位モデルでは内部構造を一新。ハイ/ロー切り替えタイプの1灯式となり、ウィンカーレンズがグリル側に移動。一気にメカっぽい雰囲気に変化しました。アメリカ版は変更なく末期までそのまま。好みが分かれるかもですが、私は後期ヘッドライトのほうが好きかな。

リアフォグランプ

ECE規則に適合するため、ヨーロッパ版はリアフォグランプが装備されています。こちらも雪国では欲しい装備のひとつ。年に数回ホワイトアウト状態に遭遇することがあるため、追突されないためにリアフォグを点灯させながら走ることがあるためです。アコードの場合、ハンドル位置により左右どちらかに配置されます。イギリス仕様は右側にリアフォグ、左側がバックランプになります。

イギリスの中古車情報サイトより拝借

スイッチはウィンカーレバー部に統合されています。当然、リアコンビネーションライトを交換するだけではダメで配線処理を施さないといけないでしょうから、やるにはちょっと根気が必要そう。

インテリアはほぼ一緒だけど、色の設定に違いあり

インテリアは操作パネルの表記やメーター速度表記、ナビ・オーディオの違い、ウィンカーレバーとワイパーレバーの位置の違いなどを除けばほぼ共通仕様です。ただし明確に異なるのがインテリア色の設定です。ヨーロッパ仕様は黒基調の仕様しか用意されていません。

あれ?と思いアメリカ版Acura TSXをチェックすると、こちらに明るい内装色の設定がありました。写真で見ると色が違うように見えますが、どちらもカラーコードNH556Lですので同一のようです。8代目アコードは日本でもAcura TSXとして販売する予定があった名残でしょうか?

なお、ヨーロッパ仕様と同じ黒内装は24TL SPORT STYLEグレードのみ設定あり。その後登場した後期モデルではすべて黒内装に変更されていますが、あまり評判が良くなかったのかな・・・?個人的には黒内装のほうがクルマのキャラに合っている気がします。

シャシーは同じと思いきや、大きな違いあり!

なんとなく勝手なイメージで日本仕様とヨーロッパ仕様は足回りの設定が違うのでは?と思い、パーツリストを眺めながら違いがあるかどうかを調べてみました。調べたのは日本仕様と近い設計になっていると思われるイギリス仕様です。

ダンパー・スプリング・スタビライザー

まずサスペンションは搭載エンジンやグレードによって設定が異なります。イギリス仕様カタログによると、エントリーグレードの2.0ESのみStandard仕様、それ以外はSport仕様となっていますが、パーツカタログを眺めてみると、

  • Frスプリング:2.0Gと2.4Gが共通、2.2Dは別品番
  • Frダンパーは2.0G、2.4G、2.2Dそれぞれ別品番
  • Rrスプリング:全仕様共通
  • Rrダンパー:2.0Gと2.4がG共通、2.2Dは別品番
  • スタビライザー:全仕様共通

となっており、何種類かの組み合わせがあるようです。ちなみに前述のグレードによる品番違いまでは確認できず。3種類あるエンジンは重量が大きく異なり、いちばん軽量なR20Aガソリンといちばん重いN22Bディーゼルでは100kg以上の重量差がありますから、それに合わせて作り分けをしていたようです。気になる日本仕様は・・・イギリス2.4Lガソリン仕様と同じ品番。ということはヨーロッパ仕様と同じ足回りが奢られているということです。これはちょっと嬉しい事実。

ちなみにAcura TSXは独自品番となっていましたので、アメリカ向けセッティングになっていると思われます。輸入車では日本輸入モデルにアメリカ向けセッティングの足回りを装備するモデルもあるぐらいですが、アコードはあえてヨーロッパ向けと同じにした点はとても興味深い部分です。

ブレーキ

次にブレーキについては、

  • Frブレーキ:2.0Gと2.2Dが共通、2.4Gのみ別品番
  • Rrブレーキ:全仕様共通

品番だけでは何のことやら?と思ったのでさらに調べてみると、2.4L仕様は17インチブレーキとなり、それ以外は16インチブレーキとなっている様子。ローター径がそれぞれ320mmと296mmとなっていることから、パワーのある2.4L仕様のみブレーキを強化しているようです。

日本仕様前期モデルは全グレード16インチ仕様となっていますが、品番から見るとイギリス2.0L仕様とはちょっと異なるように思います。採番ルールが異なり比較ができないキャリパーは写真を見る限り同じものが奢られているように見えます。ローターとパッドは別品番です。ちなみに後期で追加されたType-Sはイギリス2.4L仕様と同じ17インチブレーキを採用。品番を見る限りキャリパーとローターは同じもののように思いますが、パッドだけは別品番となっています。

イギリス16インチ仕様
イギリス17インチ仕様
日本仕様
日本Type-S仕様

品番だけではさっぱりなので、写真で見比べてみることに。イギリス2.0L仕様と日本仕様は1ポッド仕様、イギリス2.4L仕様と日本Type-Sは2ポッドとなっていました。パッとみた限り17インチブレーキ仕様は同じキャリパーのように見えますが、16インチのほうはそもそも形状から違う・・・?

このことから、ブレーキに関してはヨーロッパ仕様と日本仕様は別モノと思って良さそう。あちらの仕様はブレーキダストと鳴き上等!な仕様なんじゃないかと想像しています。今のところブレーキ性能に不足を感じる部分はありませんが、状態のよいType-Sブレーキ一式があれば換えてしまいたいなぁと思ってしまいます。

調べ終わったあとに『もしや・・・』と思ったら回答がありました。日本仕様はAcura TSXと同じキャリパーでした。品番も一緒です。ヨーロッパに比べてブレーキに対する性能要求が低いアメリカは16インチで十分なんでしょうね。その点、スピードレンジが低い日本もストッピングパワーよりもコストメリットでの16インチチョイスだったのかもしれません。

タイヤ・ホイール

異なるブレーキ径に合わせてホイール設定も複数存在します。ESグレードのみ16インチホイール、それ以上は日本仕様と同じ17・18インチを装備しています。前述のとおり2.4L仕様は17インチブレーキが搭載されるため、16インチは装着不可となります。

日本では後期モデルに設定された2.0L仕様が16インチを採用していますが、スチールホイール+ホイールキャップとなりヨーロッパ仕様の16インチアルミは採用されませんでした。

OEタイヤについては当時の情報が不足しており調べ切れていませんが、プレスリリース写真やニュースサイト等の記事を頼りに調べてみました。その結果、

  • DUNLOP SP SPORT 230 215/60R16 95V
  • ブリヂストン TURANZA ER370 225/50R17 94V
  • ブリヂストン TURANZA ER370 225/50R17 98V
  • ヨコハマ DNA dB 225/50R17 94V(※未確認)
  • ヨコハマ dB E70 225/50R17 98V
  • MICHELIN PILOT HX MXM4 225/50R17 93V
  • MICHELIN PRIMACY HP 235/45R18 94W
  • MICHELIN PRIMACY HP 235/45R18 98W

以上のタイヤが装着されているようです。日本仕様とイギリス仕様でタイヤ銘柄が一緒でもLI値が異なっていたりと微妙に異なるのが不思議ですが、ヨーロッパ環境に合わせてスペックを引き上げているのかもしれません。17インチはブリヂストンかヨコハマ、18インチはMICHELIN一択とのこと。

ちょっと風変わりなのがAcura TSX装着タイヤ。225/50R17 93VのMICHELIN Pilot HX MXM4です。オールシーズンタイヤなのですね。

同じ工場で製造しているのなら…

後期Type-Sの中古は10万km走行でも100万円程度となかなかのお値段。タマ数少ないだろうけど人気なのかな。

それにしても・・・まぁ微妙に作り分けが施されていたんですね。サスとブレーキの組み合わせあたりは実に興味深い作り分けでした。個人的趣向でいえば、後期Type-Sに純正17インチホイール、ヨーロッパ向けブレーキパッド・ローターを装備がベストと妄想。

ただ、よくよく考えてみればCU/CW型アコード・Acura TSXは全て埼玉の狭山工場で生産されていたので・・・せめて日本は幅広くオプション設定してくれれば良かったのに、と新車で買ったわけでもないのに今さら言ってみたり(笑

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ちなみにType-S用ブレーキ、まだ新品パーツの供給があるのでやるなら早めにやったほうがいいのかな・・・?(笑)全て揃えるとそれなりの10万円オーバーですか。

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