次世代MINI U25 Countrymanが登場

MINI F60
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2023年9月1日、MINIより新型MINI Countrymanが発表されました。以前からプロトタイプの公式ティザーが行われていましたが、ようやく市販版が正式公開です。

今回発表された新型の特徴としては、完全電動車(BEV)モデルが追加・F60より更にボディサイズが拡大・最新のインフォテインメント機能と安全デバイスが搭載の3点と思います。

https://www.mini.jp/ja_JP/home/explore/concept-cars/aceman-concept.html

既報のとおり、新世代MINIはモデルラインナップが整理されます。2世代続けて販売されたエステートモデルのClubmanが廃止となる一方、ニーズの高いSUVカテゴリに追加モデルとしてAcemanがデビュー予定。AcemanはBEV仕様のみ用意され、F60 Countrymanよりわずかに小さいボディサイズが採用されると言われています。そのため、Countrymanはよりファミリーユースを考慮したモデルとすべく車体が拡大されたという経緯です。

基本設計が10年前となり、競合モデルに比較して数歩遅れた装備だったインフォテインメントや安全デバイスの拡充も大きなポイント。BMW最新モデルと同等の装備が奢られることで、一気に最先端技術が盛り込まれるクルマに進化しました。特にインフォテインメント機能については、現行F60では既に進化が終わったBMW iDrive6から最新のOS9へ飛躍的な進化を遂げています。

エクステリアは歴代Countrymanの印象を残しつつ『モダン・直立・デジタル的・ミニマル』を具現化したスタイルに進化しました。ボンネットやサイドドア、テールスタイルに過去モデルで用いられた意匠を持つものの、全体的に直線的なボディラインを持ち、エッジが立ったスタイルに変わりました。

もうひとつ、長らく伝統的に用いられてきたメッキ加飾が配されたこともポイント。これはミニマリズムの一環で、ライト周囲やウィンドウ下部、ドアハンドルなどに用いられていたメッキが一切なくなりました。F系MINIでもピアノブラックエクステリア設定車が増えメッキ廃止の流れはありましたが、R50から続いていたアイコン的要素のひとつが刷新されたことは特筆に値することです。

フロントグリルは同時発表されたハッチバック版BEVモデルと同様、スクエアなフロントグリルを装備しています。このスタイルは現行ハッチバックF55/F56のLCI2モデルに先行採用され、今回Countrymanと同時発表されたBEV専用ハッチバックモデルJ01でも採用された共通意匠です。一方、リア周りは初代CountrymanであるR60と似た印象のスタイルに変化。ナンバー位置が再びバンパー部に戻りました。

先代と大きく異なるのがCピラーの形状。これによりルーフラインが短く見える効果があるとのこと。F60のサイドスカットルのような役割も持っており、モデルによって異なる意匠を持ちます。

U25とF60の違いはサイドビューに強く表れています。前述のCピラー加飾が目を引きますが、その狙いのとおりルーフラインは現行モデルよりも長いものになっています。サイズ比較一覧は以下のとおりです。

F60 SEU25 SE数値差(参考U11 iX1)
全長(mm)4,2994,433+1344,500
全幅(mm)1,8221,843+211,845
全高(mm)1,5571,656+991,616
ホイールベース(mm)2,6702,692+222,692
トランク容量(L)405460+55490
※本国値での比較、単位はmm

ボディサイズは全体的に拡大されています。大幅に変わったのが全長と全高のサイズアップです。全長の延長分はラゲッジルーム拡大に充てられており、容量が大幅に増加しました。F60のトランクは『狭くはないが、ファミリーカーとして使う分にははもう少し広い方が・・・』と思うレベルでしたので、ようやくファミリーカーらしくなったと言うべきかもしれません。スペックには現れない変化としては、F60よりも大幅に空力性能が向上しています。cd値は0.31から0.26となり、航続距離の改善に一役買っています。

なお、参考までに同じプラットフォームを採用するBMW U11 iX1の数値も並べてみました。iX1のほうが更に長い全長と多いトランク容量を持ちますが、それ以外のスペックはほぼ一緒。微妙にキャラクターを使い分けています。

エクステリアの目玉装備としては、Signature Lightと呼ばれるライトがオプション設定されています。これはフロント・リア両ライトともにライトの光り方を好みのものに変更できるもの。特にテールライトは車両ON/OFF時にアニメーションでユニオンジャックが光るギミックが用意されています。日本仕様にも装備されるかどうかは不明(法規的に厳しそう・・・)ですが、実現すればなかなか面白そうな機能です。

驚くのが設定ホイールサイズ。標準は17ないし18インチですが、オプション設定で19インチに加え20インチが用意されました。写真のモデルは20インチホイールを装備しており、タイヤサイズも245/40R20を履いています。MINIに20インチとは、時代が変わりましたね。

エクステリアよりも大きく進化したのはインテリアの造形。こちらはほとんど先代モデルの印象を持たず、全く新しい革新的ものになりました。特徴は何と言っても240mmの大型円形センターディスプレイでしょう。最近の新型車の多くが採用するドライバー側メーターとセンターディスプレイを統合した横長スクエアパネルではなく、MINI伝統のセンター円形メーターを現代的表現にしたディスプレイが目を引きます。

以前からMINIのコンセプトモデルではセンターに円形ディスプレイを搭載したものを何度も提案し長らくコレがやりたかったんだろうと思っていましたが、ようやくこれが実現しました。OLED(有機EL)ディスプレイを採用したことで実現できた結果。技術の進歩と調達コストの折り合いがもたらした結果でしょう。これにより、今まで存在していたステアリング奥のメーターは廃止され、センターディスプレイとヘッドアップディスプレイに集約されています。

さらにミニマリズムの一環として、物理スイッチも最低限のものだけを残して大幅に数を減らしました。伝統のトグルスイッチモチーフはそのままに、センターディスプレイ下部に集約されています。

最近のBMWモデルと同じく、MINIでもシフトレバーが廃止され小型のトグルスイッチがシフトレバーになりました。初めて乗る時には相当戸惑うことでしょうが、これによりセンターコンソール部は非常にスッキリとした造形になり、スマートフォンの非接触充電パッドが使いやすい位置に設置されています。

最近のBMWモデルと同じくiDriveコントローラーも廃止されタッチディスプレイと音声アシスタントが操作の中心になりました。ちなみに搭載ソフトウェアはBMWの最新モデルと同じAndroidベースのOS9。サードパーティ製のAppを追加できることが特徴で、音楽やビデオストリーミング、ゲームなどの追加機能が提供予定とのこと。通信モジュールも内蔵しており、車内で出来ることの幅が格段に拡がることは間違いありません。

もともとシフトレバーやiDriveコントローラーがあった場所には新たに小物入れが配置。この感じ、R60に用意されていたセンターレールのモチーフが復活したように思えます。ドリンクホルダーも大型化され、使い勝手の向上に配慮されています。

もうひとつの変化として、新世代モデルからサステナビリティへの対応として本革の使用がなくなり、テキスタイルや合成皮革が用いられています。MINIブランドとして、2021年に「レザーシートを廃止する」と公言していましたが、その公約どおりになりました。それに伴い、インテリアサーフェスやドアパネルの加飾はテキスタイルが広く用いられています。過去からの価値観とは異なったアプローチに思いますが、これがどう受け入れられるかは今後わかるでしょう。

もうひとつ、インテリア関係で特徴的な装備がExperience Modeです。これはF系モデルに搭載されたドライビングモードの発展形で、スロットル反応やパワステアシストなどの車両制御やインテリアライトの変化など今までのものに加え、センターディスプレイ意匠も変わる徹底ぶり。

これは面白いと思った機能として、メーター裏に内蔵されたプロジェクターがダッシュボードトリムを照らすギミック。F60ではインテリアサーフェス内に内蔵された光源が光っていましたが、プロジェクターで照らすとは斬新ですね。

さて、今回発表されたプレスフォトにはF60と並ぶ写真も。こうして並べて見ると、完全なるブランニューモデル感を強く感じます。まだ見慣れていないU25と比べると、F60がずいぶん古く見えるのが不思議。そして・・・なによりデカい。同等とした体躯を誇っています。

さらに3世代並べたの図。初代Countryman R60がミニカーみたいに見える(笑)こうしてみると、変わっているようで実は正常進化であることがわかります。

メカニズムに関する詳細は今後追って発表されると思いますが、U25 CountrymanにはBEVモデル2種類とガソリン・ディーゼルエンジンが用意されるとのこと。2種類のBEVモデルはフロントのみにモーターを配したCountryman Eと、フロント・リアにモーターを配したCountryman SE ALL4の2種類を設定。前者は最高出力150kW/204hp・最大トルク250Nmで航続距離は462km、後者は最高出力230kW/313hp・最大トルク494 Nmで航続距離が433kmとされています。

先に上陸した日本仕様のU11 iX1 xDrive30は200kW/272ps・494Nm・465kmとなっていますが、本国仕様では今回発表されたSE ALL4と同じ数値ですので、全く同じパワートレインが採用されているとみて間違いないでしょう。

ガソリンモデルについてはContryman C・Contryman S ALL4・Countryman JCW ALL4の3種類が登場予定。ディーゼルモデルも発売されるとアナウンスされています。仕向地によって搭載されるパワートレインが変わると思いますが、兄弟車U11 X1ではディーゼルエンジン搭載モデルが日本追加導入されていますのでこちらも販売されるのでは?と思います。参考までにX1のスペックを掲載。

X1 xDrive20iX1 xDrive20d
エンジン型式B48A20PB47C20B
エンジン排気量1,998cc1,995cc
エンジン最高出力150kW/204ps/5,000rpm110kW/150ps/4,000rpm
エンジン最大トルク300Nm/1,450-4,500rpm360Nm/1,500-2,500rpm
モーター最高出力14Nm/19ps/5,000rpm
モーター最大トルク55Nm/0-2,000rpm
トランスミッション7速DCT7速DCT
JC08燃費14.3km/L22.6km/L
WLTC燃費12.9km/L19.5km/L

各種装備も一気に現代化。特に安全デバイスの進化が顕著です。旧モデルはカメラオンリーだったハードも、レーダーを併用するものとなり大幅に機能向上されていることでしょう。フロントグリル内にはレーダーセンサーと360度カメラがインストールされています。

オプション装備として、レーンアシスタントや60km/h以下の半自動運転機能が搭載可能。これらは先行して搭載されているBMWモデルと同等のものです。他にもスマートフォンを介して車両を動かせるリモートパーキング機能やシートマッサージャー機能など、上級車に装備されてきたものが設定される模様。すっかり高級車になってしまいました。

あとは価格がどうなるか。参考値として、イギリス仕様でBEV仕様が42,080ポンド、ガソリン仕様が29,335ポンドからスタート。F60のSE仕様が38,395ポンド、COOPER仕様が29,290ポンドからスタートなので価格はそこまで向上していませんが、BEVモデルは価格もかなり高級車なプライスで販売が想定されます・・・。

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