この記事は当初、納車直後にサマータイヤを新調するのに合わせて作成していたのですが、納車時にタイヤが新品になっていたり、そのタイヤを色々と検証するうちにタイミングを逃しお蔵入りしたものを加筆修正したものです(笑
我が家のF60。納車時にディーラーの好意で新品タイヤに換装してもらうというサプライズがあったわけですが、その新品タイヤの銘柄はブリヂストンTURANZA T001でした。で、このタイヤ、不思議なことにランフラットタイヤでした。今回はそれについて触れてみます。
(無駄情報)納車前のタイヤはこんな状況でした
全く無駄な情報として(笑)購入契約締結時のタイヤはこんな感じ。装着されていたのは2017年第3週に製造されたPirelli P ZERO PZ4の非ランフラット。225/50R18 99Wで☆マークつき。なお、P ZEROは数種類のパターンが存在するのですが、このタイヤは「ラグジュアリーパターン」と呼ばれるものです。UTQGラベリングのTREADWEARは300とありますが、結構減ってます。
前輪の状態。もうすぐスリップサインに到達でしたね・・・。
後輪は少しだけ余裕あり。ローテーションしていなかったのかなぁ。それにしても、2万キロ少々でこの状態はずいぶんアグレッシブな乗り方。
純正OEタイヤの種類
さて、いよいよ本題。タイヤのリプレイスを考えるときには、まずOEタイヤのラインナップを確認することから始まります。と、いうことでまずはF60 Crossoverに設定されるOEタイヤのラインナップを調べてみました。
ランフラットについては以下の5銘柄、
- Bridgestone Turanza T001 RFT
- Continental ContiPremiumContact 6 SSR
- Goodyear Eagle F1 Asymmetric 3 ROF
- Hankook Ventus S1 evo2 K117B HRS
- Pirelli Cinturato P7 K1 r-f
非ランフラットについては、6銘柄が存在します。
- Bridgestone Turanza T 001
- Bridgestone Turanza T 005
- Continental ContiPremiumContact 6
- Michelin Primacy 4
- Pirelli PZero PZ4
- Pirelli Cinturato P7
さらに、これらのEUラベリング表記は以下のとおり。
メーカー | 銘柄 | LI/速度記号 | 転がり抵抗 | ウェット | 騒音 |
---|---|---|---|---|---|
ブリヂストン | T001 RFT | 95W | C | B | 70db |
Continental | CPC6 SSR | 95W | C | B | 71db |
Goodyear | Eagle F1 A3 ROF | 95W | C | C | 67db |
Hankook | Ventus S1 evo2 | 95W | C | A | 69db |
Pirelli | P7 K1 r-f | 95W | C | B | 69db |
ブリヂストン | T001 | 99W | B | B | 71db |
ブリヂストン | T005 | 99W | A | B | 70db |
Continental | CPC6 | 99W | A | B | 72db |
Michelin | Primacy 4 | 99W | A | B | 66db |
Pirelli | PZero | 99W | C | A | 67db |
Pirelli | Cinturato P7 | 99W | A | B | 70db |
個人的な感想として、F56 JCWとF39 X2に装着されているPZeroはロードノイズの大きいタイヤだなぁと思っているわけですが、ラベリングで言うと決して悪くない数値でした。その上、非ランフラットのBMW承認OEタイヤの中で、PZeroだけ低コロタイヤじゃないというのが実に不思議。これだけ見れば、ある意味『当たり』のタイヤなのかもしれませんね。
なお、BMW承認タイプではない同サイズを探すと、こんな感じ。
メーカー | 銘柄 | LI/速度記号 | 転がり抵抗 | ウェット | 騒音 |
---|---|---|---|---|---|
ブリヂストン | POTENZA S007A | 95W | (F) | (B) | – |
Michelin | Primacy 4 | 99W XL | B | A | 68db |
Michelin | Pilot Sport 4 | 99Y XL | C | A | 70db |
Michelin | Pilot Sport 4S | 99Y XL | (E) | (A) | – |
Michelin | CrossClimate SUV | 99W XL | C | B | 69db |
Pirelli | Dragon Sport | 99W XL | – | – | – |
あたりが視野に入ってきます。Michelinのラインナップが充実しています。特徴的なのが、非承認のPrimacy 4の性能がけっこう異なる点。もちろん、ラベリングだけで性能の全てが判るわけではありませんが、個人的には俗に言う『低燃費タイヤ』が好みではないので、Primacy4については、承認タイヤより市販タイヤのほうが良さそう。
もうひとつ気になるのが、Pilot Sport4s。日本サイトには225/50R18の設定が記載されているのですが、ヨーロッパでは設定がありません。以前パサートに装着していたPrimacy 3stのように、アジア専売モデルなのでしょうか?
TURANZA T001 RFT
さて、冒頭で触れたBS TURANZA T001。納車前にディーラーの好意で装着してくれたものですが、これがなぜ不思議なのか。その理由は、日本仕様のF60ではランフラットの設定がないということ。なお本国ではオプションでランフラットの設定が用意されています。また、兄弟車であるF48 X1やF39 X2については、全車ランフラットタイヤが標準装備。すなわち、このタイヤはBMWの新車外しだったのでは?という推測ができます。と、いうか、てっきりMINIも大径タイヤはランフラット標準だと思い込んでました。
そもそも、TURANZAって??
さて、ブリヂストンのタイヤラインナップの中でも『TURANZA』という名称はほ馴染みがありません。その由来を調べてみたら「TOURING POTENZA」という意味が込められているそうです。以前からPOTENZAにはプレミアム系のラインナップが存在していましたが、その流れを継いだタイヤと考えてよさそう。ちなみに現在は、POTENZA S001とS007AとTURANZA T001とT005が存在しますので、スポーティプレミアム系タイヤも2系統になったということか。なお、同じくプレミアム系タイヤを銘打つ(けど性能は似て非なる)REGNOが存在する日本国内では、TURANZA系はリプレイス向け商品が存在していません。
知る限りで言えば、ちょっと前まで散々乗り回していたスバル・インプレッサにOE装着されているのが一番見かけるところですが、VWやAudiに採用が多いようです。
ちなみに、装着されているT001はBMW認証★マーク付きの完全なる純正品。市販品ではありませんから、当然の如くまともに購入するとそれなりのプライスになります。某価格サイトでチェックしても、25,000〜30,000円/1本の衝撃プライス。むしろ、他の★付きタイヤよりも明らかに高価!
乗った感じはどうか?
装着されているのは225/50R18でBMW承認の★マークつき。製造年週は「0820」表記でメイドインポーランド。れっきとした輸入タイヤです。なお、UTQG表記はTREADWEAR 320/TRACTION A/TEMPERATURE Aとなっています。320の数値から見るに、スポーツ系というよりはエコ系に近いスペックでしょうか。
まず、購入後乗った感覚としては「高速域でゴロゴロ感のあるタイヤ」という印象。常用域ではさほど気になりませんが、高速道路でちょっとハイペースで走ると、妙にゴロゴロとした感触が伝わってきます。当初はそういうタイヤの特性かと思ったのですが、念のためタイヤ店(F60装着のX-ICEを購入したタイヤ専門店)にてバランス調整を依頼したところ…多少のバランス狂いが発生していたようです。で、調整後に走ってみたところ、前述のゴロゴロ感は大幅に改善されました。しっかりバランス取りした状態で乗ると、とても綺麗に回転している印象のあるタイヤです。この辺、流石はブリヂストン。
その上での感想としては「ランフラットタイヤとして考えたらデキは上々」というものです。これはX2のPirelli PZeroでも感じたことですが、10数年前のランフラットタイヤから比較するとずいぶん普通のラジアルタイヤに近い感触に近づいたと思います。これについては、当初のサイドウォールがガッチガチに補強されていてゴム板か?と思うぐらい劣悪なタイヤから相当に進化しています。これは技術革新によって走行時に発生する熱の対処がうまくできるようになり、そのお陰でサイドウォールの補強が以前よりも少なく済むようになったとのこと。それでも、縦方向のカタさを全く感じないということはなく、ある程度の突き上げ感は残っていますが、十分許容できる範囲に収まっていると思います。
一方で気になるのが、微少な転舵時の挙動。高速域でステアリングの遊び程度に左右に振ってみると、微細ながらも反応についてくる設えとなっています。ちなみに、以前パサートに装着していたMichelin Primacy3であれば、同じシチュエーションを試すと、うっすらと「壁」があるような動きをします。その点で言えば、Michelinは直進安定性、BSはリニアな反応に重きを置いているのかもしれません。高速道路を長距離移動する私としては、ビッタリまっすぐ走るMichelinのほうが好みかも。
グリップ感は過剰でもなく不足でもなく、適切なところ。F60の特性もあるかもしれませんが、タイトコーナーでステアリングを徐々に切り込んでいくときも、あまり重さに変化がなく曲がっていく印象があります。この際にタイヤがヨレる感覚はほとんどありません。あまり面白みのない特性ですが、この辺の印象は、Primacy3と似ています。ウェットグリップについても、ヘビーレインの高速走行でも怖い印象は皆無。ラベリングの割には安心感があります。
静粛性については、対PZeroで明らかにコッチのほうが静か。Primacy3(st)と比較しても、そこまで大差がないレベルに思います。パターンノイズについては明確に静かという印象はありませんが、耳障りな領域はかなり抑え込まれている印象。路面継ぎ目を通り越す際のロードノイズについては、ほとんど気になりません。
同じTURANZA T001でもちょっと違う?
そういえば、ですが。前述のインプレッサに装着されていた日本製のTURANZA T001。実は、乗った印象がポーランド製★付きとは結構異なりるのです。ざっくり言うと、妙にふらふら感。その対処法として、某筋では「サイドウォールが見るからにパンパンになるぐらいエアを注入すると印象が変わる」と紹介されていましたが、やってみたら本当にビタッとした感覚。トレッドが妙にカタく、サイドウォールが柔いがゆえの特性、とのこと。同じ銘柄でこうも違うのかと感心。
長々と記述してきましたが、貰い物タイヤとしては『不満なく乗れるかな?』と思えるタイヤ。最初のバランスがピッタリ状態でないときの印象は最悪でしたが、今は残溝なくなるまではコレでいこう!と思っています。
次はコレかな?
とはいえ、毎週600km以上走行するシビアコンディションなので・・・そう遠くないうちに次のタイヤが必要になることでしょう。F60 PHEVはなかなかの重量級車両であることに加え、電気走行時はタイヤのロードノイズが目立ってしまうことを考えると、スポーティ系タイヤよりかはコンフォート系タイヤのほうが好ましいと考えます。
その点で言えば、MichelinかContinentalをチョイスしたいところなのですが、OEスペックのPrimacy4が一番静かでエコタイヤ寄り、市販スペックのPrimacy 4が若干スポーティな味付けでしょうか。
コメント