長いお付き合いのクライアントAさま(仮名)から提案された、8代目アコードの譲渡の件。購入可否を判断するため、早速実車の状態をチェックしてみることにしました。
現車の状態をチェック

いつも遠目で眺めるだけだったので、許可を得てこの機会に改めて実車をチェックしてみました。
まず車検証をチェックしてみると、初度登録は2008年12月の極初期モデル。車体番号から調べると、製造年月日は2008年11月19日。新車発表が同年12月4日でしたから、もともとはディーラーの展示車・試乗車だったのかな?と推察されます。グレードは最量販グレードとなる24TL。純正HDDナビゲーションとスマートキーシステムをオプション装備したモデルです。
なお、Aさんがこの個体を購入したのは2019年。埼玉の中古車販売店から購入とのこと。その時点で10年落ちの車両だったわけですが、降雪地帯ではないところで乗られていた個体でしょうから、北海道内で流通している個体よりも状態は良かっただろうと判断します。
購入後も複数台クルマを保有するAさんはとっかえひっかえ乗られていた上、前輪駆動のアコードは冬場に乗らないことも多く(一時期は完全に冬眠していた時期もあった)その点下回りのダメージは最小限だったはずです。
なお、次回車検は令和8年8月と残り1年半弱とたっぷり。毎年の整備点検・車検は地元の整備工場で実施。整備記録簿も完備されているので、素性は判断可能。2〜3,000kmごとにオイル交換を実施していたようですので、整備状況は問題ないと考えます。
年式の割には低走行の個体

次にメーターで総走行距離を確認。約59,000kmでした。16年落ちのクルマにしてはあまり走っていませんね。余談ですが、マルチファンクションディスプレイが装備されています。指針が外周を動く凝った形状ですが、今となってはクラシカルな見た目・・・。時代だなぁ。

私が知っている限り、Aさんは冬場にあまり乗っていなかったはず・・・と思い下回りを覗き込んでみました。想像どおり、目立つサビはなく綺麗な部類。ダンパーやブッシュ関係の劣化が気になるところですが、重整備はもうちょっと先でも大丈夫かな?という印象を受けます。

お次はエンジンルーム。アイドリング状態で気になる様子はなし。土埃で汚れてはいますが、ホースやパイプ類、ベルト関係の劣化は少なめ。整備自体は定期的に施されているようなので、こちらも重整備はもう少し先かなぁという感じです。年数的にバッテリーはそろそろ交換時期とのこと。
外装:多少の補修は必要だけど、大きな問題なし


ガレージ保管ではなかったので、外装は一部に劣化や小傷あり。目立つ傷としてはRH側リアに深めの傷がありサビが発生しているので、ここは綺麗にしてタッチペンで簡易補修したほうが良いかな?塗装自体の劣化は少なめです。

年式的にヘッドライトが曇っていてもおかしくない頃合いですが、現車のヘッドライトカバーは比較的綺麗。過去に磨いたのかな?クラックなども入っていないので、ケミカルで磨けば大丈夫かと思います。我が家のアコードワゴンのハードコートがボロボロな具合に比べたら全然状態が良いです(笑
内装:比較的綺麗、劣化少なめ

内装も綺麗。ダッシュボードのべたつきやステアリング表皮の劣化もほとんどなし。ライトウォームグレーのファブリック内装なので汚れが気になるところですが、意外と綺麗でした。写真では判りませんが、運転席シートはAさんがRECAROシートに換装済み。座り心地はGoodですが、サイドエアバッグ内蔵の純正シートも保管してありましたので、安全性を重視して純正シートに戻そうかと思います。

現在は社外16インチホイール・スタッドレスを装備。TOYO Winter TRANPATH TXが組み合わされています。純正は17インチですが、後期モデルで追加された廉価グレードと同じサイズ(205/60R16)にインチダウンされています。別途、純正17インチタイヤ・ホイールも保管してあるとのことだったので、純正フォルムが好きな私はそちらに戻して乗ろうかな。
周辺の試乗も勧められましたが、パッと見の雰囲気やアイドリング状態を観察する限り大きな問題はないだろうと判断、Aさんからも『気になる症状はない』とのお話しだったので、まぁ乗らなくても大丈夫だろうと判断しました。
さぁ、どうする?

現車の状態や提示価格を考えると、なかなかのオファーなのは間違いありません。直感センサーは『勢い任せで買っても何とかなるぞ!』と騒ぎ立てています(笑)ただ、社用車事情からいうとすぐにオーリスの代替を手に入れなければならない状況ではないため、不要といえば不要なのよね・・・。
社用車適正は△
じゃあ、違う目線で・・・社用車適正があるかどうかで考えてみましょう。
- 安全装備:○ サイド&カーテンエアバッグ・VSA装備、自動ブレーキ等なし
- 顧客受け:◎ 地味系車種だからこれ乗っていっても何も言われない
- 維持費:△ 燃費はよくない、保険料率クラスは低め、タイヤは欧州車中心に普及サイズ
- 冬道適正:△ FF仕様(もともとAWD設定なし)

適正としては、そこまで悪くありません。一番重視する安全デバイスは6エアバッグとVSAが全グレード装備されています。ACC・LKAS・衝突被害軽減ブレーキは最上位グレードのみ標準装備、その他グレードはオプション設定。価格が262,500円だったこともあり、装備されているモデルはかなり希少です。
一方、冬道適正の面では前輪駆動であることから他のスタッフにはマイナス評価になるでしょう。8代目はAWD仕様が設定されず全車FF仕様だったため、アコードを選ぶ時点でNGです。クルマのキャラとしてはFFのほうが好ましいかもしれませんが・・・。
顧客受けという視点で見ると、この上なくOK。アッパークラスの車種ですが、外装が比較的スマートなのでありきたりな高級車に見えない(一応褒めてる)点はかなり良いでしょう。この点、オーリスも新規のお客様のところに乗りつけても嫌味がなく使い勝手がよかったのですが(笑
最後に意外な発見として、任意保険料率クラスがとても低いことも利点です。年式が古いからか、そもそもあまり台数がいないからかはわかりませんが、オーリスよりも低いのは意外です。ただ、仮に車両保険を掛けようとしても60万円が上限か。。。
聞いちゃったら、断るに断れないぞ・・・(笑
と、色々頭の中で思考を巡らせているうちにふと気になったことがあったので・・・ひと言Aさんに尋ねてみました。
『コレ、買取業者で査定しました?』
するとやはり買取業者で査定を受けたそうで、買取提示額は30〜40万円だったことを明かしてくれました。それより遙かに安い価格でのオファーでしたから、これは完全にAさんの好意のお話しだと確信したと同時に、断るのはちょっとアレだなということに気がつきます。
・・・尚更買わないわけにいかないよぁ。もったいぶって後編へ。
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