F60入庫・・・の代車は最新型MINI

MINI F60
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社用車F60がマイナートラブルでディーラーに入庫でした。

長らく私の担当であるセールス氏がBPS拠点からMINI新車拠点へ異動されたので、今回からF60はMINIディーラーへ入庫です。緊急性がないトラブルだったので、工場の混雑を避けるためにと平日入庫にしたところ、代車としてLCI2版のMINI F55をお借りできました。

LCI2版のF55 COOPER

車名MINI COOPER 5DOOR
年式2022年式
エンジン1.5L 3気筒ガソリンターボエンジン(B38)
ミッション7速DCT
駆動方式FF
ボディカラームーンウォークグレー(B71)×ブラックルーフ
タイヤヨコハマタイヤ アイスガードiG60 175/65R15
オプションCLASSIC TRIM

ハッチバック版MINIに乗るのは久しぶり。思い返せば、2019年9月末にF56 JCWを失って以来ですから・・・実に3年半ぶりの経験です。当方のJCWは2016年モデル。その間、2度のマイナーチェンジを経たモデルですから、借りた瞬間から何がどう変わったのか興味津々。

人生初めてF55に乗る

長らくMINIオーナーの私ですが、実は今まで1度も5ドアMINIに乗ったことがありません。試乗すら経験がなく、今回が初めてのF55ドライビングでした。どうも、ハッチバック=3ドアという固定観念があって「食わず嫌い」的なモデルでした。

COOPER 3DOORCOOPER 5DOOR数値差
全長(mm)3,8654,025+160
全幅(mm)1,7251,725±0
全高(mm)1,4301,445+15
ホイールベース(mm)2,4952,565+70
車両重量(kg)1,2101,260+50
トランク容量(L)211278+67
JC08燃費(km/L)18.017.5−0.5
WLTC燃費(km/L)15.615.6±0

3ドアと5ドアのスペックを並べてみました。一番の違いはホイールベースが70mm延長されていることですが、実はリアオーバーハングが伸ばされトランク容量も向上している点も注目ポイント。当然重量が増加することで燃費性能も落ちるものかと思いきや、カタログ燃費はほぼ変わらず。WLTCモードに至っては3ドア・5ドア変わらず。

ちなみに、3ドアに設定のあるJCWモデルは本国含めて設定なし。それ以外は3ドア・5ドアのグレード(エンジン・パワートレイン)の違いはありませんが、日本仕様についてはONEが未設定です。また、3ドアで設定のあったMT仕様も用意されませんでした(※現在は3ドアモデルもMT仕様廃止)

1.5L直列3気筒ガソリンエンジン×7速DCT

搭載されているエンジンは1.5L 直列3気筒ガソリンターボエンジン(B38A15A)はBMW/MINIおなじみのもの。社用車F60にも搭載されています。そのフィーリングに新鮮さはありませんでしたが、モーターアシストがないとけっこう3気筒特有の音や振動を感じるものだなぁと妙に感心(笑)不快に感じないレベルでエンジンの存在を知らしめてくれるので、走らせている感はこちらのほうが俄然上です。

形状は異なるもののほぼBMW用シフトレバーと同じ

そのエンジンに組み合わされるトランスミッションは初めて体験する7速DCT。2018年1月に発売されたLCI1モデルから既に搭載されているものです。製造はゲトラグ社で、7DCT300と呼ばれるものが搭載されています。湿式デュアルクラッチを採用していながらも従来の乾式デュアルクラッチ採用のものとそう変わらない軽量設計が特徴で、RenaultやMercedesの小型車にも採用されています。

DCTならではの変速の素早さはこのミッションでも健在なのですが、それよりも驚くのが極低速時のギクシャク感がほとんど感じられない点です。VWの乾式7速DSGはこの辺の制御が気になるところがあるのですが、こちらはそういった違和感がほとんどなくまるでトルコン式ATのように難なく走ります。むしろ言われなければDCTであることに気がつかないのでは?と思う仕上がりに思います。

LCI2モデルの見所

内装で一番目立つのがデジタルメーター。この写真だと液晶エリアがわかりやすいでしょうか?

前述のとおり、2018年1月のLCIにてヘッドライト変更やエンジン・トランスミッションの変更、通信モジュール搭載、メインスクリーンのタッチパネル化などの改良が実施されました。その後2022年1月のLCI2においては、前後バンパーの刷新やインテリア細部のデザイン変更、デジタルメーターの新採用など、モデルの印象を大きく変える変更が実施されました。

そろそろ目に馴染んできた新フェイス

LCI2モデルを初めて見たときには『カールおじさん』を思い浮かべたものですが、1年経つと慣れるもの。初代BMW MINIから伝統的に装備されていたメッキグリルがなくなり、グリル内部(ナンバープレート装着部)トリムもボディ同色になったことでグリルの存在が目立たない顔つきになりました。これは次期モデルでも引き継がれるモチーフ=次期型のプロローグ的な役割もあるでしょう。

バンパー意匠が変わったと同時にヘッドライトもブラックアウト化されました。これにより目玉感がより強くなったと思います。実際のところはメッキ処理を減らしたコストダウンと見るべきか。

なお、ヘッドライトスイッチ部にはレベライザースイッチが設置されています。先代BMW X1の後期モデルも同様でしたが、オートレベリングじゃなくなったのですね。併せてフロントフォグライトが廃止されたことでスイッチ部にフタがされています。

デジタルメーターと新ヘッドユニット

新型メーター
参考:以前のメーター

内装で目立つ変更点といえば、まずはメーターが刷新されたことでしょうか。マルチディスプレイメーターパネルという名称、目新しさ抜群の装備ですが、メーター全体が液晶化されているわけではなく中央の部分のみ液晶化。タコメーターはパッと見デジタル表示に見えますが、実は機械式です。

中央の液晶部分表示される内容(情報)は今までのモデルと同じ。純正ナビが装備されているモデルであれば液晶下部にルート情報やターン情報が表示されるのですが、今回の個体はナビが装備されていないモデルだったためその機能は試せませんでした。表示エリアが拡がったことによる利点がそう大きくないのはちょっと残念な気がします。

新型のメインディスプレイとその周辺
参考:旧モデル

センター部のモニターやその周辺の意匠も変更されました。モニター周りのパネルも以前は凹凸がある造形だったのですが、新型はフラットでピアノブラック塗装がされています。上質さという点では格段にグレードアップしたのですが、ピアノブラック塗装であることからタッチすると指紋が残ってしまうという欠点があります。

メーターの周囲を覆うイルミネーション部(メーターリング)も変更され、模様がつけられました。以前の光源むき出し感のあるリングよりかは上品に見えますが、好みが分かれそう。

細かな意匠も変わっています

新型の吹き出し口
参考:旧モデル

LCI2ではダッシュボード左右に配されたインテリアサーフェスの形状が変更。エアコン吹き出し口形状が変更されました。以前はトリムと別体になった吹き出し口が存在していましたが、新型はトリムに内包される形に変更。こちらのほうがスマートに見えるのでいいですね。

これはLCI2以前からの変更点ですが、ドアミラーカバーの形状が円形から流線型に変更されています。ミラー面の形状は変わっていません。エアロダイナミクス観点からの変更に思いますが、以前の円形ミラーもMINIのアイコンだったと思うので複雑な心境。効果はどれぐらいあるのでしょうかね??

ステアリングも刷新。スイッチ類の形状が変わりました。パッと見はタッチボタンのように見えますが、押すとクリック感のある物理ボタンでした。良心的な設計です。

レザレットのスポーツシート

今回の個体はCLASSIC TRIMが設定されていました。トリムによる区別化は以前からイギリス本国で導入されていましたが、2021年から日本にも導入されたようです。

トリムとは、いわゆるパッケージオプションと異なり、選ぶトリムに応じて選択できるボディカラーやシート表皮、ホイールが決まるだけでなく、標準装備される装備や選択可能オプションも変わるというものです。要は装備を選びやすくした+ある程度装備を固定化できるというものでしょう。

CLASSIC TRIMを選択したときのみ装備されるのが、クロスとレザレット(人工皮革)のコンビネーションシートです。今までこのシートは限定車に装備されることがあったのですがカタログモデルでも選択できるようになりました。形状はスポーツシートタイプ。レザーと異なり座面や背もたれ部分がクロスになっており、フルレザーと異なり滑る感覚は一切ありません。

シート自体もかつてのモデルより改良されたのか、座り心地は上々。社用車3号F60のシートと比べても、こちらのほうが身体に馴染みます。ちなみにハッチバックモデルには最後まで電動シートが用意されませんでした。

安全デバイスは少しだけ拡充されました

ハードウェア的にはUKL兄弟であるBMW車と同じはずなのに、何故かMINIには長らく装備されていなかった車線逸脱警告がLCI2によって追加されました。フロントガラス上部のカメラによって車線逸脱の危険があると認識した場合ステアリングがバイブレーションするのはBMWと同じ仕組み。作動開始速度も60km/h以上で設定されている点も同様です。

ちなみにiDriveコントローラー部のボタン図柄がナビ付きと違う

なお、現行販売車両においてはアクティブクルーズコントロールが装備できないモデルがあります。半導体不足による影響だそうですが、それによりLCI2の目玉のひとつであった電動パーキングブレーキも搭載されません。今回の代車もACCが搭載されていなかったため、旧モデルと同じパーキングブレーキレバーが装備されていました。

元F56オーナー目線で感じる進化

在りし日のF56 JCW

久々に乗り回したハッチバック型MINI。改めて、小型であることの良さ、そして発売から長らく経ったが故の完成度の高さを存分に感じることができました。前期型3ドアJCWに乗っていた頃の記憶と照らし合わせながらアレコレ考えてみました。

MINI CONNECTEDとApple CarPlay

まず、一番の変化としてはiDrive(MINI CONNECTED)の進化でしょう。前期モデルはiDrive4が搭載されていましたが、旧世代のハードウェアのためApple CarPlayが使用できません。また、通信機能やタッチパネルも搭載されていないため、最新のモデルと比較するとかなり見劣りします。

今回の代車は前述のとおり純正ナビゲーションシステムが非搭載。そのためナビ機能を使用するにはApple CarPlayを利用することになりますが、個人的には純正ナビゲーションの性能に疑問を感じる部分も多いので、これで良いと感じます。言い換えれば、Apple CarPlayさえ使えればインフォテインメント機能に当面不満を抱くことはないでしょう。

ちなみに前述のiDrive4でも、ID5化を行えばCarPlayを使用することは可能らしいのですが、4→5世代へ改良された際に内臓RAM容量も増加しているため安定動作出来るかは???といったところ。そもそもタッチパネル非搭載ですから、動いたとしても操作性はイマイチかもしれません。

ちなみにメインモニターの表示サイズは以前と変わらず。一見、天地方向に画面が拡大されているような造形なのですが・・・そうなっていませんでした。特筆すべきは液晶パネルが以前のものよりハッキリとした色合いになっていること。我が家のF39やF60、どちらも画面のコントラストが弱くCarPlayで地図を表示しても見にくいという欠点があったのですが、こちらは気にならないレベルになっています。

乗り心地はけっこう変わった

ちなみに純正はCLASSICトリム装備=16インチです

既に道内各地は積雪がほぼなくなったのですが、今回の代車はまだスタッドレスタイヤを装着していました。そのため、本来の乗り味がどうなのかは推測を交えながら・・・となりますが、受けた印象としては足回りのセッティングはしなやかな方向に変化したのかな?というものでした。普段は重量級のF60に乗っていることもあり、より軽快さが際立ちます。

一説にはF56 3ドアよりロングホイールベースを持つF55はゴーカートフィーリングを維持するため、F56よりも硬めの足回りが採用されていたという話を聞いたことがあるのですが、今回の個体を乗る限り以前よりもダイレクト感は薄れたような印象を受けます。言い換えれば、普段乗りにはこれぐらいのアジリティで十分かなぁという感想です。

オーディオシステムに関してはやっぱり・・・

センタースピーカー設置部のフタ
参考:ハッチバックモデルはAピラーにツイーター設置

久々に標準スピーカー(6スピーカー)のモデルに乗りましたが、音質はやっぱり物足りないなぁという印象でした。ラジオを聞く分には何も問題ないのですが、音楽再生となると全体的にメリハリがなくぼやけた感じの音に聞こえてしまいます。スピーカー自体は前後ドアに計4個、左右フロントシート下に計2個が装備されていますが、harman/kardonに慣れると『うーん』と思ってしまうものでした。

以前記事のとおり、現在harman/kardonスピーカーシステムはJCW CLUBMANのみ選択可能。こればかりはどうしようもないですが、やっぱり残念です。早く元に戻ることを願いましょう。

末期モデルならではの完成度

結局、代車で100kmほど走った感想としては・・・末期モデルならではの完成度、熟成度が高くこの世代のMINIであれば間違いなく最良のモデルだったということです。また、普段F60に乗る私にとっては、1人で乗るならやっぱりハッチバックモデルで十分だなぁと再認識しました。

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New-look electric Mini gains bold cabin design and two powertrain options – and we've driven it

3代目MINIがデビューしたのが2013年。もうすぐ丸10年を迎えるF56系統ですが、こうして最新型の個体に乗ってみると「以前よりも良くなった」と実感できる仕上がりになっていました。ADAS関連やインフォテインメント機能はさすがに10年の歳月で時代遅れになったのは確かですが、それ以外の部分は普段乗りの相棒として考えるのであれば上出来ではないでしょうか。

そしてハッチバックモデルについては、いよいよ新型が登場間近です。次期ハッチバックモデルは中国生産のBEV専用車(J01)とイギリス生産のICE車(F66)の2種類が用意されます。このうち後者であるF66はモデルコードが現すとおり、現行モデルに引き続いてUKLプラットフォーム(の改良版)が用いるとのこと。

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EU圏内で2035年から開始される内燃機関の新車販売禁止を考えれば、おそらく次のモデルが最後のエンジン車になるでしょう。エンジン自体も細かな改良がされているものの現行と同じB38/B48が続投となるでしょうから、前述の時代遅れな要素が気にならないのであれば現行最終モデルを購入するのも賢い買い物になるかもしれません。

ちなみにF60はコレで入庫でした

マイナー中のマイナートラブル・・・

ちなみに今回の入庫理由は・・・フロントフォグランプの中に水滴が溜まり続けていたので交換してもらいました。MINI NEXT延長保証に加入しているので無償修理です。一説には水滴が溜まったらフォグランプを点灯させ→熱で蒸発させるのも手らしいのですがね(笑

総走行距離10万kmを超えましたが、あまり不具合らしい不具合が起きないので良いのやら悪いのやら。

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