U25 COUNTRYMANを試す【後篇】

MINI F60
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前回の続き。後篇ではクルマの性能にかかわる部分についてまとめています。

運転支援デバイスはものすごい進化

個人的に今回のフルモデルチェンジ最大の目玉と思ったのが運転支援システムの大幅強化だと思っています。F60はデビュー時点から競合車種と比較すると物足りない状態(もっとも、兄弟車であるBMWモデルと比べても劣っていた)でしたが、新型は完全無欠と呼んで間違いありません。

上位モデル並に充実した装備

Driving Assistant Professionalの中身は、

  • 高速道路渋滞時ハンズオフアシスト
  • ステアリング&レーンコントロールアシスト
  • アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)
  • レーンディパーチャーウォーニング
  • レーンキーピングアシスト(アクティブサイドコリジョンプロテクション付)
  • レーンチェンジウォーニング
  • レーンチェンジアシスト
  • 前車接近警告機能
  • 衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリング付)
  • 後車衝突警告機能
  • クロストラフィックウォーニング(フロント&リア)
  • スピードリミットインフォ(トラフィックサインアシスト 速度制限認識)
  • エマージェンシーストップアシスト
  • セーフイグジット

さらにParking Assistant Plusとして、

  • サラウンドビューシステム
  • リモート3Dビュー
  • ドライブレコーダー
  • リモートセフトレコーダー(盗難防止機能)
  • パノラマビュー(フロント&リア)
  • アクティプPDC(フロント&リア、ビジュアル表示機能付)
  • ペダル踏み間違い急発進抑制機能
  • パーキングアシスト(並列/縦列)
  • リバースアシスト/後退時ステアリングアシスト

が装備。その他にもハイビームアシスタントや自動防眩ミラー、タイヤプレッシャーセンサーなども装備されており、F60の装備よりも格段にレベルアップしています。同クラスの競合車種と比較してもかなり充実しており、上位セグメントの最新モデルと肩を並べるものになりました。

センサー・カメラがいっぱい

F60よりも洗いやすいグリルになったな…(笑

運転支援デバイスの拡充に伴いセンサー・カメラ類も大幅に増加しています。

まずフロントグリル中央部には大きなミリ波レーダーセンサーが配置。ちょっとカッコ悪くなってしまいましたが、グリル造形の工夫でなるべく目立たないようなデザインになっています。さらに前後PDC用のセンサーが4個ずつ+フロントタイヤ前方とリアタイヤ後方にそれぞれ1個ずつ、計12個の超音波センサーが設置されました。

カメラは前方監視用としてミリ波レーダー下とフロントガラス上部に、アラウンドビュー用に左右サイドミラーに、リバース用として後方に配置されています。また、オプションで室内用カメラも搭載可能です。

原理は同じだが表示内容が進化したヘッドアップディスプレイ

機構的にはF60のものと同じだた、結構使えるものに
ドライバーの注意力監視用カメラ

先代から存在したヘッドアップディスプレイは運転支援デバイスの拡充に合わせて表示内容が大幅に強化されました。これはDriving Assisant ProfessionalをONにした状態の表示で、SLIやACC・車線中央維持の動作状況が表示されています。ナビゲーション案内中の交差点案内時は地図表示、クルマ側からアドバイスがあればそのメッセージもここに表示されるようになりました。

ちなみに、先代は偏光グラスのサングラスを掛けると表示内容が見えない弊害があったのですが、今モデルは見えるという地味な改良も施されています。

F60ではメーターがあった場所は何やら黒い窓が。ここにはドライバーの状態を監視するカメラが配置されており、集中力が維持されているかを判断しています。実際に運転支援デバイス使用中に脇見や居眠りをするとアラートが発出、それでも反応がない場合は緊急停止するように設計されているとのこと。ステアリングにも握りセンサーが内蔵されており、手放し状態かどうかの監視が行われています。

もはや運転能力は人間を超えたか?

色々試して一番感心したのが、ACCとレーンキープ性能がとてつもない程に進化したこと。F60のACCは単眼カメラで前方を監視するだけの簡易的なものだったため、その動作安定性はかなり怪しいレベルでした。夕暮れの西日や夜間など視界があまり良くない時のカメラ認識性能が悪く、使いたいときに使えないという場面が多々ありました。

その上、ACCの車間距離制御も加減速が粗く、結局自身で運転したほうがマシと思うもの。これは兄弟車のF39 X2も同様で、オマケ程度の装備としか思っていませんでした。

一方、U25に搭載されたものは高速道路・一般道問わず不安なく安定して使えるレベル。周辺トラフィックの認識能力が格段に進化しスムーズな加減速が出来るようになったことに加え、車線認識も可能な限り継続するように頑張って認識しているのがよくわかります。今回は昼間・夜間両方試しましたが、システムがオフになる瞬間はごくわずか。

まるで熟練の運転手に任せているかのようなレベルで、3日間の運転中に『おっとっと』という場面が一切ありませんでした。その造り込みがあまりに良く仕上がっているので、高速道路だけでなく一般道も積極的にONにして走るほうがよっぽど良いと思えたほど。まだ自動運転の領域には達していなくとも、それはもう目の前まで来ているんだなと思えるほどのデキでした。

個人的にグッときた装備

こちらも現代車では普通になりつつあるサラウンドビュー機能。カメラの画質や画像処理が優れており、何の不満なく使えるものになりました。そして地味に『これはイイ』と思ったのが、洗車機モードが用意されていること。クルマがデカくなりサイズ感覚が微妙に掴めないな・・・と思っていたら、洗車機に真っ直ぐ車体を突っ込むための機能が用意されていました。

個人的にはいちばん欲しい装備かもしれない

もうひとつ、個人的に羨ましいと思える装備がタイヤ空気圧モニターがTPMSに変更されている点です。これによりリアルタイムにタイヤ空気圧のチェックが可能になります。実は新しい機能ではなく、iDrive6時代から実装されている機能ではありましたが、日本仕様もようやく実装されました。ホイールのエアバルブにTPMSセンサーを取り付ける必要がありコストが掛かりますが、走行距離の多いF60には是非装備したい機能でもあります(センサー自体がなかなかのお値段です)

乗った感じに大きな違いなし

インフォテインメントと運転支援デバイスの大幅強化が果たされた新型ですが、クルマとしての仕上がりは先代と大差ありません。その点、進化の方向性が『自分で運転する』ことから『クルマが勝手に運転してくれる』方向に突き進んでいるのが、何となく寂しさを覚えます。

ずいぶんと安楽になったフットワーク

明確な変化はステアリングがびっくりするぐらいに軽く仕上げられている点です。Experience設定の違いかと思いGo-Kartモードにするも大きな変化なし。掌越しに路面フィードバックや反力を感じながら・・・という性質のものではありませんでした。これはBMW製MINIが刻んだ歴史からも大きな変化でしょう。

フットワークも同様、スムーズな乗り味に。MINIっぽさを残す意図があったのか縦方向のダンピングは強めに伝わってきますが、それ以外はスッキリ抑えられた乗り心地。路面のアンジュレーションは車体にほとんど伝わらず、コーナリング時の姿勢変化もソリッドさが薄まりコンフォータブルなものに。

最近のMINI OEタイヤ事情

装着タイヤはContinental EcoContact 6Qでした。代車でお借りしたクルマをぶん回す訳にはいきませんのでハンドリング性能は試していませんが、高速道路主体で乗った限りはまぁ普通だな・・・という性能。明確な欠点はありませんが、何となく印象に残らないタイヤです。静粛性をウリとした銘柄とのことながら静かだなぁと感じる要素は少なかったです。

https://www.mini.co.uk/en_GB/home/footer/tyrelabel/mini-countryman.html

ちなみに、代車をお返しした後に担当セールス氏と立ち話をしていたところ、最近はBMW承認タイヤのレパートリーがどんどんアジアンタイヤにシフトしており、PIRELLIやMICHELIN、Continentalを履いていることの方が珍しくなったとのこと。

そうなの?と思いOEタイヤリストを見てみると、確かにその傾向にある様子。実際、在庫車や展示車を眺めてみてもヨーロッパ勢よりアジア勢のほうが装着率が高いかも。HankookやNEXENが悪いと思いませんけど・・・ブリヂストンやMICHELINが欲しいなら高額なオプション=20インチを装着しないといけないようです。

パワートレインは先代と大きな差ナシ

エンジン自体は先代からのキャリーオーバー。多少の改良は施されていますが、大きな違いはありません。ただし、燃費対策として48Vマイクロハイブリッド機構を搭載。モーターは20ps/55Nmの能力ですから、実感が薄いものでしょう。スターターの代わりにベルト駆動スタータージェネレーターを用いるため、スムーズにエンジンON/OFFを繰り返せるのが判りやすい恩恵でしょうか。

3日間の燃費性能実績は市街地で10km/L前後、高速道路+山岳路主体のルートで15km/L前後とそこまで奮わずでした。ガソリンAWDで車体が大きくなってコレですから、まぁヨシとするレベルかな。

先代の後期モデルから新搭載されたGetrag製7速DCTは終始スムーズ。以前乗ったF55後期モデルと同じく、DCTならではの変速の素早さと極低速時のマナーの良さは一級品。耐久度はどうなんだろう?という不安はありますが、本当に良く仕上がったミッションに思います。前期モデル搭載のアイシン製8速ATも変速も素早いもののスムーズ製はもう一歩でしたので、個人的にはコチラが正解と思います。

運転環境の○と×

乗ってみてちょっと驚いたこととして、車体がサイズアップされたのに運転席に座って見える景色は装飾が違えどほとんどF60と一緒。ただ、ボンネットの先端高さがF60よりもそびえ立ったような形状となっており、感覚はこちらのほうが掴みやすいかもしれません。

シート形状はスタンダード仕様。座り心地はまずまずで、長距離移動でも苦にならない仕上がりでした。骨盤を立てた姿勢でキッチリ座れますし、時間経過によるクッションの沈み込みも許容できるレベルで不満のない仕上がりでした。新型は本革素材が一切廃され合皮がスタンダードとなりましたが、その一方で表皮滑りが抑えられており好意的に解釈できます。ただ、ここまで車両が上級化しちゃうとシートも電動がいいなぁと思ってしまうのはなんとも。

クルマの方向性が変わった点はさておき、乗っていて気になったのはステアリングの太さ。これは兄弟車のX2も同様ですが、なんでこんなに太くしてるんでしょうか?太くなった理由はヒーターやセンサーを埋め込むとそうなった説やEPSの特性に対応するため説など色々あるようですが、最初はかなり戸惑いました。握り心地自体はさほど悪くなく、軽いステアリングの性質も相まって最終的には慣れましたが・・・。

変わることはイイことか?

広く支持を集めるのは間違いなくコチラと思いますが、一方で過去のBMW MINIの乗り味を知る者としては普通過ぎることに『じゃあMINIじゃなくてもいいんじゃない?』と考え込んでしまいます。

群雄割拠なB・Cセグメントに於いて、独特のポジションを築き高級仕様が飛ぶように売れるという成功例を作ったMINIブランド。他メーカーもフォロー商品を数多く投入するもMINIと同じように成功した例がなく、独走状態と言っても差し支えないところ。そこで、より多くの顧客を囲い込もうとするのは正しい方向性でしょう。

それに加え、前述の運転支援デバイスの大幅進化から見て取れることとして、もはや『人間が運転を楽しむ』ということ自体が前時代的な考え方なのかもしれません。

いつかは買い替えが必要だけど・・・

およそ600kmほど走ってみた最終感想はちょっと複雑なもの。好意的に捉えるとすれば、いよいよこのクラスのモデルでも充実した運転支援デバイスで安全・安楽に移動できるようになったのは素晴らしいのひと言。これなら長距離移動のアシ車としては申し分ない内容で、運転後の疲れ具合はかなり軽減されるでしょう。

一方で、クルマの運転を楽しむという点ではいよいよMINIブランドである必要性が薄れたことは残念。R50から長らくMINIに乗り続けてきた身としては、安楽に移動することを主題に置くのであれば他ブランドの車種でも良いのではと思ってしまいます。その点、F60も購入当時はMINIらしさが薄れずいぶんとBMWっぽくなったなと思いつつ購入した1台ですが、U25と比べてみると、これでも十分MINIらしさは残っていたのだなと思えます。

結局『MINIらしさは何か?』という解釈は人それぞれでしょうが、今のMINIが持つ世界観に共感できる方であれば買って損はない1台だと思います。このU25であれば、大抵の要素はカバーできるはずです。ただ、次世代モデルがこれ以上が大きくなるのであればもう支持できないなぁ。

じゃあ、もしまだMINIに乗り続けたいと思うなら何を選ぶべきか。その答えは↑コレしかないかもしれません。新世代になっても旧来の味が残っているという噂。多人数乗車はできませんが、普段は1名乗車なのでやっぱりこのサイズが適正なのでは?と考えています。

もしくはAcemanにICEが搭載されれば・・・(笑

コメント

  1. tsuyoshi より:

    SNS全盛ですが記事としてしっかり文書で読めるブログは良いなと感じまして、はじめてのコメントとなります。
    以前BMW F45やグランクーペにも乗っておりましたので、X2のコーディング記事等ブログで拝見しておりました。

    BMWのSUVへ乗り換え検討していて、春頃こちらの記事のU25 JCWに乗り換えいたしました。
    以前からMINIに興味があったけどハッチバックより大きな車種が欲しい、兄弟車種X1 M35iの標準にはない20インチ、ドリルドローター、可変バルブマフラー等、価格的な魅力もあったのが決め手になりました。
    大きさは本当にMINIなのか・・・といった感じですが、走りも良いカジュアルなSUVを探している方がターゲットの様で、私の様にBMWから初めてMINIに乗り換えた方もいるようです。

    ただ、比較的外車ディーラも多い地域ですが、売れているのか心配になるぐらいU25は見かけることがほとんどないですね。
    内装は好みが分かれそうですが、運転支援はハンズフリーまで搭載のBMW最新機種と同等、都内の狭い道もギリギリ行けるサイズ感、走りも良いので非常に気に入っています。

    不満点はダンパーかなと思っています。
    MINIらしさの再現もあるのかもしれませんが、JCWのアダププティブサスペンションは非電子制御機械式で、時々変に大きく跳ねることもあるのでこの辺りは電子制御式ダンパーの方が乗り味も変えられて優れていたような気がします。
    あと、Go-Kartモードでもハンドルは軽めですね。X1やX2の試乗車も軽かったので、最近のBMWの傾向なのかもしれません。

    とはいえ不満点は相当に少ない車種でしたので、確かにMINIらしさに何を求めるかで受け入れられるのか決まるのかもしれませんね。

    次回以降の更新、楽しみにしております。

    • アバター画像 Hokkai_K2O より:

      コメントありがとうございます。こんな長文駄文なBlogですが、そう仰っていただけると幸いでございます!

      F45→グランクーペ→U25乗り換えとのこと、羨ましい限りです。X1やX2も試乗されたとのことですが、恐らくU25が一番良く出来ているとお考えの上のご購入と思われますがいかがでしたでしょうか?(※個人的にはこれら兄弟車の中で一番まともなデキなのがMINIだと思っております 笑)

      仰るとおり、MINIらしさをどう捉えるかでこのクルマの評価は変わると思います。私のように初代BMW MINIの味が忘れられない人にとっては『もうこれはオレたちのMINIじゃない』と思ってしまうのでは?と思いますが、これからMINIの世界に触れる方にとってはユニークでよく作り込まれた世界観にMINIらしさをお感じになられるのでは?と思います。その点では本当に良く出来たブランドになったと思います。

      機械式可変ダンパーの評判はあまり良くないようですね。私はまだ試していませんが、先代F60 JCWの足回りは19インチの大径ホイールの割にまぁまぁ良かったのでそれとの違いも気になるところです。

      • tsuyoshi より:

        こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。

        3台の中でブランド、内装とメータパネル無しが大丈夫な方ならU25お勧めすると思います。
        U25が一番乗り味も良かった気がします。兄弟車の中、最後に登場したので色々フィードバックされて調整されているのかもしれません。

        レビューにも書かれておりますが、先進機能は以前より高機能安定、7速DCTも変速や低速でも問題ない、ダンパーもたまに上下強い時がある程度なので普段綺麗な道での街乗り程度なら気にするようなことではないかもしれません。

        ヘッドアップディスプレイもほとんど問題ないのですが、細かい所ではやっぱり情報もっと表示してと思う点も少々あって、乗り換えてから以前よりセンターへ視線移動が多くなった印象です。
        例えば、知らない道のナビゲーション中、交差点の右左折専用レーン情報等細かい情報はヘッドアップディスプレイに表示されなくて、次の信号どうなっているかセンター画面下の小さい領域に目線移動させたりするのが面倒ですね。
        実際右左折する交差点はヘッドアップディスプレイにレーン情報も表示するのでできないことはないはずなので、今後のOSのアップデートに期待でしょうか。

        BMWも同じですが、OS9からサブスクに課金しないと常時渋滞情報が地図に表示しない等都市部で必要そうなものが有料なのは流石にちょっと思いますが、まあ無くてもなんとかなるような小さい点ばかりです。
        未契約時、目的地までの案内時ルート上のみ渋滞表示という仕様は・・・

        乗り方や地域、道路状況にもよると思いますが、レビュー見ての感想はJCWの燃費もS ALL4と同じぐらいな感じで購入前思っていたよりは良いと感じています。
        (JCWはカタログにも燃費記載無しで購入前に参考値もなかったです)

        営業の方が、売りの一つは空気抵抗Cd値0.26と言っていましたが、この辺りも燃費に影響しているのかもしれません。
        普段街乗り10km/l前後、高速道路走行も15km/l以上出ますから、300馬力オーバのエンジンとあの形や車高を考えるとBMW製エンジンの性能やエアロ設計も凄いなと素直に思います。

        今後ユーロ7規制もありますしエンジンのみの車はほとんど作れなくなりそうな雰囲気ですから、この世代あたりが最後かと思うと少々複雑な心境です。

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