CROSSOVER PHEVを1ヶ月あまり乗り回してみて

MINI F60
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F60 Crossover COOPER SEが納車されて1ヶ月。通勤に業務にプライベートにとおよそ3,000km(笑)ほど乗ってみての感想を記事にしてみます。

モーター駆動が良い感じ

F60 COOPER SEを買って一番良かったと感じるのが、モーターの力強さとスムーズさに尽きます。

モーター自体の出力は88ps/165Nmしかないのですが、ゼロ発進から最大パワー・トルクが立ち上がってくる感覚は内燃機関のクルマでは到底味わえないもの。モーター音はかすかに聞こえる程度なので、ほぼ無音でスルスルと走る様は電動車ならでは。バッテリー残量に余裕があればずっとモーターで走行しますが、残量が少なくなったときには、発進時は後輪モーター駆動→タイミングよく前輪エンジン駆動に切り替わります。また、強い加速をする場合には前輪・後輪が同時に駆動し、224ps/385Nmという性能が発揮されます。

で、走行中のエンジン⇔モーターの切り替わり時の挙動については、驚くほど自然に切り替わります。普通に走る分にはほとんど意識できないレベル。強いて言えば、そっとエンジン音がし始めて『あ、エンジン動き出したかな』と気がつくレベル。例えばこれが、国産HV車であれば『明確にエンジンが動き出した!』と気がつく音振動があるのですが、F60ではそれがありません。

切り替わり後の挙動は、3気筒エンジンらしい排気音やエンジン音が聞こえてきますが明らかにうるさいと感じるものではなく、地味に動いているという印象。また、組み合わされるトランスミッションが非PHEV車が8速ATなのに対しこちらは6速AT。さぞ騒々しくエンジンを回すのか?と思いきや、そうでもありませんでした。ただし、バッテリー残量が著しく低下しているときなどは静止時でもエンジンが起動することがあり、その際の音振動については明らかに3気筒のそれ。普段が無音無振動のため、余計に目立つというオマケ付き。

なお、国産HVのようにエンジンでバッテリーを充電できる構造とはなっておらず、あくまでモーター(後輪)とエンジン(前輪)はそれぞれ機能する形ですので、走行中にバッテリーを充電するためには回生発電しか方法がありません。その回生ですが、そこまで強力にパワーを回収するタイプではありません。そのため、外部充電で蓄えた電気を使い切った後は、常に残量5%前後を行ったり来たり。

そうなると、いかにモーターの美点を生かせるようにするかが重要になります。

ひとつめの方法は、eDriveスイッチで『SAVEモード』を選択するパターン。このモードにすると、走行時のモーター駆動が最低限になり、かつ回生発電の積み重ねでバッテリー残量を徐々に増やすことができます。その上で、モーター駆動を駆使したいときに、AUTO eDriveモードに戻すという使い方ができます。ただし、基本はモーターを動かさないモードとなってしまいますので、個人的にはあまり使っていません。

もうひとつの方法は、SPORTモードを使うこと。個人的にはコレがおすすめ。

SPORTモードが痛快すぎる

SEには他のモデルと同様、MINIドライビングモードが搭載されています。設定はGREEN/MID/SPORTの3パターンで同じですが、得られる効果が他のモデルとちょっと異なります。

たとえばJCWの場合、SPORTモードに設定するとActive Sound Designが擬似エンジン音を室内に轟かせ、マフラーから下品なアフターファイヤー音がバンバン鳴るギミックが作用。F56のときは面白がって使うモードでしたが、エコ車なF60 SEではマフラーがバンバン鳴ることはありません。ではどんな効果が?というと、アクセルオフの瞬間から強めの回生発電が機能するようになり、バッテリー残量があっても発進時以外はエンジン走行をするようになります。

それだと前述のバッテリーSAVEモードとの違いがないように思えますが実際はそうではなく、あくまでシステム出力を高める=モーターの美点を引き出しまくるためのモード。故に、このモードでゼロ発進から強めにアクセルを踏むと、聞こえてくるエンジン音とは全く比例しない勢いで重量級の車体がグイグイ前に進みます!この加速感はエンジンオンリーのX2では味わえないもので、思わず『うわ!コイツ速ぇ!』と驚くレベル。JCWほどの強力さはないにせよ、一度体験するとけっこう病みつきになります。

当然のことながら、著しく燃費性能が落ちてしまいますが、個人的には普段からSPORT一択で乗っても良いかな?と思う仕上がり。ちなみに、SPORTモードを『普通の走り方』乗り回していると、バッテリー残量がどんどん増えていくという作用もあります。また、アクセルペダルを繊細に扱える方であれば、回生の効き具合を調整(あえて弱めるように)しながら乗ると良い感じに走れます。

車重は重いが乗り心地は良好

次に驚くのが、乗り心地の点。重量物(バッテリー・モーター)を後ろに乗せたことにより重量バランスがFR車に近い比率になっているわけですが、同時に車重も1,770kgに。ですが、その重量増が乗り心地の重厚さに表れており、ことのほか乗り心地が良好という結果をもたらしています。我が家のX2と比較しても、兄弟車とは思えないデキ。(もっとも、X2はカッチカチのMスポ足に20インチのホイールとランフラットタイヤが落ち着かない乗り味の原因ですが・・・)これがよく代車で乗り回すX1(こっちは非Mスポの17インチ仕様)と比較しても、乗り心地は同等レベル以上に思います。

MINI系統のクルマは基本的にどの車種もゴーカートフィーリングと称した落ち着きに欠ける乗り味が『演出』されていたわけで、強いて言えばカタいと思われがちのF56 JCWが比較的乗り心地が良い印象があったのですが、このF60 COOPER SEに関しては更に『MINIっぽくない』と言ってしまって差し支えない乗り味。もっと言うと、ハンドリングも例の『バキっと切ってギュンと曲がる』系ではなく、極めて自然なフィーリングを持っています。内外装を隠して乗ったら、MINIだと認識できないかも・・・というぐらい。この印象の良さはかなり想像以上でした。

ただし、タイヤに起因するであろう乗り味の不満が多少あり。これについては改めて記事にします。

静か故に・・・のメリット・デメリット

モーター駆動の良さは、エンジン特有の振動・ノイズが減ることもひとつ。故にですが、タイヤのロードノイズがよく目立ちます。無音のタイヤがあれば・・・なんてムリな話なので、出来れば耳障りな周波数が目立たないコンフォートタイヤがあれば良いのですが。また、車体形状が故に高速走行時の風切り音も目立ち気味ですが、風切り音が気になる領域に入っているときには間違いなくエンジンが稼働していますので、『モーター駆動時の』という点ではタイヤノイズだけがデメリットと考えていいでしょう。

一方でメリットに感じるのは・・・静かさが故にHarman/Kardonの恩恵が大きいことでしょうか。久々に装着車に乗りましたが、やっぱり音の良さはノーマルの比ではありません。と、いうよりノーマルがひどすぎる。我が家のX2に搭載されているHiFiシステムと比べても、やっぱりこちらの方が音質良好。はっきりと『松・竹・梅』の差がわかるレベル。外部充電でバッテリーを100%にして、静かな環境で高音質オーディオの音を楽しみながら運転する瞬間(※残念ながら、そんなに長い時間楽しめない 笑)は個人的に『ホントに買って良かった!!!』と思うところです。

また、我が家の個体特有の『不具合』で、右前輪のブレーキローターが偏摩耗しているようで、走行中に擦過音が発生。静か故に、メチャメチャ耳障りな音が・・・。これはディーラーと対策の協議中。ローター交換で対処かもしれません。

予想外にシートの出来が良い

実はあまり期待していなかったけど良かったポイントがもうひとつ。シートの出来がよく、1日600km移動した際も疲れ知らず。着座感が良く、シート全体で身体を受け止めてくれている仕上がりでした。革シート特有の滑り感は気になるところですが、個人的には合格レベル。X2のシートはアルカンタラ表皮がすごく良い感じなのですが、長時間移動時の着座感が少し微妙で、背中あたりがうっすら疲れます。形状がすこし『やり過ぎ』なのかと。その点、F60のレザーシートもスポーツ仕様なんですが、適度なホールド感。

ちなみに1日600km同行者も『さっぱり疲れない』と同意見。意外とF60、ロングツアラーかも。

運転環境は兄弟車と違う味付け

F60に乗って驚くのが、X2に比べて着座位置が高めに感じることです。実際にはそれほど差がないはずなのですが。室内高もX2より高いので開放感がありますが、設えはX2のほうが好きかも。

今回購入した個体はインテリアもオプションが多数。例えばドア内張りのインサートカラーがサテライトホワイトになっていたり、インテリアサーフェスがピアノブラックイルミネーテッドだったり。いわば豪華版。相変わらず内装が楽しげなのがMINIらしいですが、実用性の面ではやっぱりX1・X2系統のほうが良いです。

細かい部分で言えば、ステアリングの表皮はX2 Mspのほうが高級。MINIの場合、オプションのYoursステアリングを選ぶと同じナパレザーになります。一度ナパレザーステアリングの質感に慣れてしまうと、一般的なレザーステアリングがとてもショボく感じてしまいます・・・。なお、ステアリングスイッチのボタン数もMINIのほうが減っており、X2ではステアリング上でオーディオソースの変更が可能(これが結構便利)なのですが、MINIにはありません。

センターコンソール部近影。パーキングアシストが装備されていないのでトグルスイッチがひとつ空白なのが惜しい(笑)初期型のため一番右のトグルがドライビングモード切替ではなくヘッドアップディスプレイのON/OFFスイッチになっています。X2比で言えば、ヒーテッドフロントウィンドウ(スイッチ)がある点がGoodですが、左右独立エアコンの温度操作にSYNC機能がないのがイマイチ。

なお、ちらっと写っているシフトレバーは機械式。現行モデルの場合、8速AT搭載モデルは電子式シフトレバーに変わっていますが、SEに関しては未だに機械式レバーが継続。慣れると電子式のほうがイイんだけどなぁ。

ちょっと狭いが実用性に問題のないトランク

トランクはこんな感じ。トランクルーム左側にある箱のようなものは、200Vコンセント用の充電ケーブルです。普段ほとんど使わないので積んでおく必要もないんですが・・・。SEの特殊点として、バッテリー・パワーユニット搭載のためトランクのストレージコンパートメントの下にあるサブトランクのサイズはかなり小さくなっていますが、通常業務で使う分には容量的に問題ありません。

トランクはこんな感じ。トランクルーム左側にある箱のようなものは、200Vコンセント用の充電ケーブルです。普段ほとんど使わないので積んでおく必要もないんですが・・・。SEの特殊点として、バッテリー・パワーユニット搭載のためトランクのストレージコンパートメントの下にあるサブトランクのサイズはかなり小さくなっていますが、通常業務で使う分には容量的に問題ありません。

電動車ならではの思わぬ便利さ(+でもちょっと残念)

もうひとつ、このモデルを所有して『うわ、コレは何気にイイぞ!』と思ったポイントがあります。それは出発時刻に合わせて事前にエアコンを作動させることが出来る機能です。現在F56系統・F48系統にお乗りの方であれば、『その機能は、SE以外にも搭載されてるじゃない?』と思われるかもしれません。と、いうか私自身も他のモデルと一緒の機能だと思い込んでいましたが・・・非電動車に搭載されているのは『ベンチレーション作動』機能。要は、送風しか出来ないのです。

今年は特に暑い日が多く、炎天下にちょっとでも停めていたらすぐに車内温度がサウナ状態になることが続いていましたが、事前にiDriveで出発時刻を設定しておくと、車内がギンギンに冷えた状態で待機してくれます。同様にX2もタイマーでベンチレーションを設定しても『まぁ、多少は涼しいかな・・・』というレベルしか効果がないため、この「違い」に気がついたときには感動すら覚えました。

ただ回避出来ない欠点として、当然エアコン動作により大幅に電力消費しますので走り出す頃にはバッテリー残量が大幅に減ってしまうという弊害が。快適さを取るか、燃費性能を取るか・・・。究極の選択でもあります(笑)ちなみにですが、バッテリー残量が不足している場合、タイマーをセットしても作動しません。

さらに言うと、通信機能を搭載した車両であれば、Appから遠隔でエアコン動作を実行することも可能になります。ですが、我が家の初期型SEは通信機能がないため、降車時に設定するしかありません。うーん。後付けで通信機能が欲しいぞ・・・。

充電できなきゃただの重たいHV車

このクルマの明確な欠点を挙げるとするならば、やはりバッテリーを使い切るとただの重たいHV車でしかない点でしょうか。公称値ではバッテリーで42km程度走れるとありますが、実際には市街地走行で20km程度しか走れません。フル充電におよそ3時間かかるわけですが、その後の走行で充電残量がみるみる減っていくのを見ていると、精神衛生上あまりよろしくない(笑

また、1.5L 3気筒エンジンは決して非力に感じるものではなく、うまくモーター駆動と切り替わるので『遅い』と感じる場面がないのが救いですが、バッテリー残量がなくなったときの市街地走行の燃費は、残念ながらかなり厳しい数値を叩き出します。その上、モーターとバッテリー搭載の都合上、ガソリンタンク容量が36Lとなってしまっているため、あっという間に給油する必要があります。600km無給油はほぼ不可能で、おおよそ400kmぐらいで給油のタイミングが訪れます。この点はっきり言えば『エンジン燃費で買うならディーゼルのほうがマシ』です。

2019年モデルは仕様変更でバッテリー容量が増えEV走行可能距離が伸びていますが、個人的には買うならそっちのほうが良い気がします。どちらにせよ、『最大限の恩恵』を受けるためには、当たり前ですがやっぱり自宅や勤務先に200V充電設備があったほうが良いですし、そういう環境が構築出来るヒトが買うべきクルマでしょう(笑

結論

燃費云々ではなく、純粋にモーターの性能に見所を感じて購入した1台でしたが、思いのほか充電して乗るのが楽しく、時間があれば充電スポットで継ぎ足ししながら電動車ライクに乗り回しています。急速充電が出来るのであれば最高なんだけど・・・。

そして、内燃機関至上主義人生を送り続けてきたわけですが、PHEVを所有してみて思ったのが『電気自動車、意外とイイジャナイ!』という現実。航続距離の問題が解消されていくのであれば、フルEV車も意外と悪くないかも、と思うぐらい。乗ってみるもんだなぁ。という感想。

あと、F39 X2やF48 X1と比べてみても、F60 Crossoverのデキは結構まともでファミリー的。ちょっとというかかなり意外。先代R60は良くも悪くもMINI感がタップリでしたが、見た目を除けば、F60よりF39のほうがよっぽど『MINIっぽい仕上がり』に感じます(笑)スパッと切って、スコンと曲がって、多少のバタバタを許容する足回り感。よっぽどF39がやんちゃキャラクター仕上げなんだろうなぁ。

最後にもうひとつ。ナビの自車アイコンがMINI(笑)ID4搭載のF56 JCWにはなかった機能。地味ポイントですが気がついた人は皆『うわ!かわいい!』というリアクションをしてくれます(笑)

コメント

  1. HOPE より:

    内燃機関至上主義人生。私はこれまでもそうでしたが、残りの年数(まだ20年くらいは乗るつもりですが)を考えても、今後もそれを貫くつもりでした。ただ、CGTVでは松任谷氏が以前からずっとモーターの良さを訴え続けていますし、ついこないだ雑誌で福野礼一郎氏も「内燃機関しか乗ったことのない人に、モーターの良さを文章で伝えるのは不可能だ」とまで書いていたのを目の当たりにすると・・、ちょっと考え方を変えなくてはならないのかも。とも感じています。どうしたものでしょうかね??

    • Hokkai_K2O Hokkai_K2O より:

      純粋なモーター車で得られる加速感を言語にするなら『エンジン音が全くしない強トルクのCVT車』と思えばわかりやすいかもですね。
      先日所用で日産ノートe-Power(純粋なEV車ではありませんが・・・)を丸一日乗り回してきましたが、あえてCVT車のような過渡トルクにしているのかな?と思うような加速感でした。ただ、高速域はモーターが得意としない領域なので、高速道路主体の乗り方では思ったほど燃費が伸びません。
      そういう点では、内燃機関車が苦手な領域=市街地をメインで乗るなら電気自動車、そうでない領域=郊外・高速がメインであればPHEV車や純内燃機関車という使い分けになるのでは?と考えます。最近新たに登場しているEV(Honda eやMINI SE、Fiat500)が航続距離短めなのも、そんなに遠出せずにどうぞ!という意味もあるのかなぁと思っています。

      • HOPE より:

        なるほど、使い分けですか。それはありかもしれません。私はまだモーターの類のクルマに乗った経験が一度もないので、これからそういう機会があったとき進んで乗るべきなのかどうか? 一度乗ってモーターに魅了されてしまったらどうしようか? これまでのクルマ人生が全否定されてしまうのではないか? という不安を常に抱えていましたが、「使い分け」という風に捉えられればちょっとは気が楽かもしれません。ただ、「欠点」「デメリット」こそがすなわち「味わい」につながるとも思っているので、それを積極的に楽しむことも趣味としてクルマを考えたときにはちょうど良い落としどころなのかなぁと、なぜだか悶々としながら思っています。めんどくさい性格で困ったものです(笑)。

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