買った後にF60バイヤーズガイド|旧型比較+まとめ篇

BMW F39
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ついでに先代R60との比較と、参考になる方が日本に何人いるかわからない『S』の違いなどなど。F60購入検討している方にはあまり参考にならないかもしれないバイヤーズガイドです。

先代R60と比較してみる

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自分でも忘れかけですが・・・先代R60も3年間という短い間でしたが所有していたことがあります。購入当時はけっこう惚れ込んで(+結構ムリして)買ったんですが、期待していたものとあまりに異なる乗り味に飽きてしまい、結局初回車検を機に売却してしまったという過去。と、いうことでまずは先代R60と現行F60を比べてみます。

実はけっこう専用設計だったR60

先代R60はPaceman(R61)が兄弟車として存在した以外、他のMINI/BMW車と兄弟関係のないクルマでした。パワートレインこそR56系の譜系を汲んでいますが、プラットフォームは完全オリジナル。故にBMW系車種とは独立しており、ボディサイズは現行よりコンパクトにまとめられています。ちなみに生産される工場もイギリスのオックスフォードではなくオーストリアのグラーツ。マグナ・シュタイア社に委託されていました。生い立ちひとつ取っても、他のMINIとは違う所以。

また、MINIブランド初の4駆モデルということでも注目を浴びましたが、デビュー当初は「こんなのMINIじゃない!」という声も多数。結果的に、ハッチバックに5ドアモデルがなく、Clubmanも3+1ドアという成り立ちだったこともあり、少し大きくて使い勝手の良いMINIが欲しいという声にマッチし、全世界で50万台以上が販売。その結果、モデルは第3世代MINIラインナップに継続。

一方で、BMWボトムラインナップがFF化され、パワートレインやプラットフォームが共通化されたこともあり各モデルこぞってサイズアップ。Crossoverも漏れなくサイズアップし、堂々Cセグメントに仲間入りです。なお現行F60はオランダのVDLネッドカーで製造。こっちもイギリス生まれじゃありません。

スペック比較

旧型R60と新型F60のスペックを比較してみると、前述のとおりボディサイズが大きくなり重量も増加していますが、エンジンが完全新型のモジュラーエンジンに刷新されたことで、燃費を含めた各性能が向上しています。

まずボディサイズについては、ホイールベースが75mm増えたおかげで、室内環境は余裕がアップ。特に後席がようやく使い物になるサイズになった感じ。また、スペック表には記載していない事項として、R60はトランク容量がけっこう狭かったのですが、F60に切り替わりトランク容量も100L増。

パワートレイン。ガソリンエンジンはR56系に搭載されていたプリンスエンジンをそのまま搭載。デビュー時から『後期型』のエンジンが採用されているので、前期型でたびたび話題になる不具合は解消されている(という話ですが・・・)ようです。ちなみに、LCI前に追加されたCOOPER ALL4については、他モデルが自然吸気エンジン搭載であるのに対し、このモデルだけひっそりとターボエンジンが搭載されています。

また、日本導入のMINIモデルとして初めて、R60にディーゼルエンジンが搭載された際は当時の基準で相当な燃費性能だ!と評判になりましたが、今こうやって改めて眺めていると、その後のガソリンエンジンの進化具合が素晴らしいことがはっきり判ります。逆に言い換えれば、R60に搭載されていたディーゼルエンジンは音・振動共にかなり大きく、評判が今ひとつだったことも付け加えておきます。

この表には記載していませんが、装備レベルはかなりの差。たとえば、R60は純正ナビゲーションの設定がなく、後付けでナビを装着するのは一苦労でした。後期モデルになり『MINI Visual Boost』と呼ばれるディスプレイオーディオが選択出来るようになり、さらにその後、Pioneer楽ナビをインストールできるようになりましたが、現行型のような統合型のインフォテイメントではありませんでした。

また、ヘッドアップディスプレイやアクティブダンパーのような高級車御用達の装備や、ACCや自動ブレーキなどの予防安全装備も皆無。その点から言うと、新型はBMWとコンポーネントを共有したことのメリットが存分に活かされていると言っても過言ではありません。その分、価格もサイズも『高級車』になっちゃいましたけど・・・。

F60の年次変更履歴

さて、BMW/MINIともに昔からイヤーモデルで装備がけっこう変わるので全てを追い切れないのですが、最近はリリースもなく変わることもしばしば。カラーの差替えやオプション設定の変更も多く、小まめにカタログを眺めていないと差がわからないレベルのため、中古で買う際には注意が必要です。

年表

  • 2017年2月 日本発売
  • 2017年5月 JCWモデル追加
  • 2017年7月生産モデル〜 仕様変更
    • ステアリングコラム上メーター意匠(燃料計)の変更
    • MINIドライビングモードのスイッチ位置変更
    • 上記に伴いヘッドアップディスプレイ搭載車はON/OFFスイッチ廃止
  • 2017年10月 ONE追加
  • 2018年3月生産モデル〜 MINI Connected改良
    • 4G SIMを車両に搭載し、通信対応に進化
  • 2018年4月 COOPER/COOPER S追加
  • 2019年7月生産モデル〜 仕様変更
    • ドアミラー形状の変更
    • iDriveコントローラーの形状変更(小型化→タッチ機能廃止)
    • 一部モデルのATをDCTに換装(ONE/COOPER/COOPER S)
    • LEDフロントフォグランプ:デザイン改良の上、COOPER / COOPER D / COOPER D ALL4に標準装備を追加
    • 自動防眩ドアミラー:標準装備化(COOPER SE)
    • ビジビリティパッケージ:一部グレードの標準装備廃止→OPへ格下げ
    • ウレタンステアリング→スポーツレザーステアリングへ変更(ONE)
      同時にマルチファンクション化されクルーズコントロール追加装備
    • シートヒーター:一部グレードの標準装備廃止→OPへ格下げ
    • MINIエキサイトメントパッケージ:一部グレードで標準装備化
    • ITSスポット対応ETC車載器システム:ONE・BUCKINGHAM除き標準装備化
    • リアPDC:ONE・BUCKINGHAM除き標準化
    • MINIドライビングモード →COOPER Sに追加
    • オートマチックテールゲートオペレーション:ONE除き標準装備化
    • Pepperパッケージの内容変更(ZMD→ZBDへ)
      • 一部装備が標準装備化され、パッケージから除外。
      • 新たにフロント+リアPDCとパーキングアシストが追加
      • アラームシステムが除外(単体OPへ変更)
    • インテリアサーフェス:一部グレードがヘイジーグレー→ピアノブラックへ
    • COOPER SEのリチウムイオンバッテリー容量が7.7kWh→10kWhへ変更され、EV走行可能距離が30%増加
  • 2019年10月 JCWのエンジン換装
    • 兄弟車X2やMINI JCW GPに搭載されているエンジンへ換装、231ps→306psへ強化

※上記は北海カツオ調べ。誤りありましたらスミマセン

当初はディーゼルばかりのグレード体系だったけど

モデルライフを振り返ると、デビュー当初はディーゼルモデルしかラインナップされておらず、ガソリン車はちょっと遅れて登場したJCWのみ。その後1年以上、普及グレードにガソリン車が用意されない状態が続きました。先代R60まで振り返っても、モデル後期はディーゼル仕様がメインでガソリン車が縮小、JCWを除くモデルはディーゼル車がトップグレードというラインナップになっており、F60も方針がそのまま踏襲された形。が、件の欧州メーカー勢のディーゼル不正疑惑に端を発したネガ要素により、結局ガソリンモデルが追加されるに至ります。

現行のグレード体系はONE・ONE BUCKINGHAM・COOPER・COOPER D・COOPER D ALL4・COOPER S・COOPER SD ALL4・COOPER S E ALL4・JCWと9グレードにも及びますが、ガソリン車はJCW以外のALL4モデルが存在しない状況はそのまま。JCWを除くMINI他モデルの中でも、ガソリンエンジン×ALL4はF54にしか存在しません。X1やX2はエンジンと駆動方式が比較的自由にチョイスできるので、その辺は大きく異なることになります。

グレード間の差異

ONE系/COOPER系/COOPER S系と大きく分けて3種類あるグレード体系ですが、わかりやすい差として認識できるものと、買ってからじゃないと気がつかない差含めて、複数存在します。

まず、外観の違いとしては、ラジエータグリル・サイドスカットル・マフラーエンドの処理(S・SD系統はツイン、それ以外は左側シングル)に加え、フォグランプの違い(※2019年の仕様変更以前に限る)が存在します。先代R60の場合、グレードによりバンパーが異なる仕立てでしたが、F60についてはラジエーターグリルだけが異なる設えに変わっています。

内装については大きな差異はありませんが、グレードによってインテリアサーフェスの標準が異なります。現行の最新型はONE系統がヘイジーグレー、COOPER以上がピアノブラックが標準。あとはシート形状がコンフォートかスポーツかの違いぐらい。ある意味で言えば『安いグレード買ってもしょんぼりしない』設え。

地味ながら有名な機能的差異として、ONE/COOPERと、COOPER S以上のグレードでホーン搭載数が異なります。前者はシングルホーン、後者はデュアルホーンとなっています。日本仕様のカタログにはこの違いの記載がないのですが、イギリス本国のカタログにはしっかり記載されているという 笑

【訂正】後で気がつきましたが、COOPER SEはシングルホーンでした!当初、クラクションを鳴らしたときに「故障か?」と思いましたが、パーツリストを見ると確かにシングルホーンの設定。うーん。。。

また、COOPER S系統のモデルにのみ、パフォーマンスコントロールと呼ばれる機構が搭載。これはコーナリング時のアンダーステア発生を抑制する電子式デフロック機能のこと。これはオプションでチョイス出来ない装備となります。

【誰得情報】 SD ALL4とS E ALL4の違い

これは自分自身のナレッジのために調べた情報なので『誰にも参考にならない』と思われますが(笑)どちらも最高峰グレードの『S』が冠されていますが、実は見た目や装備がちょっとだけ違いがあります。私が購入した2017年式にで比較したときの差異は以下のとおり。

  • PHEVならではの装備が追加
    • 車両接近通報装置
    • 普通充電用ポート・普通充電用車載ケーブル
  • 標準装備のアルミホイールデザインの違い
    • SD:18インチアロイホイール ベアスポークシルバー
    • SE:18インチアロイホイール ピンスポークシルバー
  • テールパイプの処理
    • SD:ツインエキゾーストテールパイプ
    • SE:シングルエキゾーストテールパイプ(下位モデルと同じ左側のみ)
  • シート形状の違い
    • SD:スポーツシートが標準装備
      シートトリム:クロス ダブルストライプ カーボンブラック
    • SE:コンフォートシートが標準装備
      シートトリム:クロス ファイヤーワーク カーボンブラック
  • 一部装備が標準→オプション化
    • 自動防眩ドアミラー
    • MINIエキサイトメントパッケージ
  • SEにOP装備設定がないもの
    • 2XC+2TB:John Cooper Worksレザーステアリング+スポーツAT
    • 223:ダイナミックダンパーコントロール

ほとんどがOP装備で補完出来るようになっているので『SEだから選べない!』という装備はありませんが、一部パッケージOPの価格設定が異なっていたりします。2XC+2TBはパドルシフト付きステアリングですが、PHEVには必要ないという判断でしょうか。223が設定されていない理由はちょっと不明。イギリスでは設定があるのですが・・・。

なお、搭載されるエンジンやトランスミッションが異なるのは前述したとおりですが、もうひとつ大きな違いとして、両車とも同じ『ALL4』を名乗るものの、SD ALL4は前述のとおりHaldex Gen.5をベースとした電子制御クラッチパックを採用。一方、SE ALL4は前輪が通常のFF、リアがモーター駆動の『前後2種の駆動組み合わせ』の仕立て。すなわち、同じALL4でも中身は全く別モノのため購入時には留意が必要です。

中古を手に入れるならどの発売年次モデルが良い?

この他にもカラーの差替え、オプション装備やオプションパッケージ体系の見直しなどが行われています。比較的大きい変更点としては、2018年3月生産モデルからの変更点となったMINI CONNECTEDの通信対応、2019年7月生産モデルからの標準装備・OP装備の変更、そしてCOOPER SEのバッテリー容量増加、JCWのエンジン換装ではないでしょうか。

個人的には、通信対応のMINI Connectedの便利さ(X2のiDriveで体験済み)がよく、後付けで対応できるものではないため、2018年3月以降に生産されたモデルを選ぶと良いのでは?と思います。また、JCWとPHEVモデルについては、2019年7月より性能が大幅に変わったため、もしこの2グレードを中古購入する際には注意が必要です。特にJCWについては、エンジン刷新前のモデルを買う積極的な理由がほとんど見当たらず。

F60の『買い』はどれなのか?

さて、前項までUKL2兄弟も含めて(ちょっと偏りながら)F60に触れてきましたが、ではどのモデルが買いなのかを考えていきます。9グレードから1台を選ぶに当たって、まずは搭載エンジンと駆動方式を絞り込む必要があります。

やっぱりALL4を選ぶべき

まず、駆動方式については四輪駆動であるALL4を推します。雪国である北海道だからALL4が必要!という理由だけではなく、搭載されているシステム(Haldex gen.5)性能がかつでのFFベースのパートタイムAWDと比較してもかなり良くなっている点です。

https://www.mini.jp/ja_JP/home/range/crossover_all4.html

悪路の走破性だけでなく、ワインディング路の走行などでも積極的に後輪へ動力配分を行うようになっています。仕組みとしては車速やGだけでなく、外気温やワイパー動作なども含めて走行状況を判断し、必要と判断するとすぐさま後輪へ駆動力配分。その切り替えスピードもコンマ1秒レベルで行われるため、今までのように滑って→よいしょ、っと言う感じで切り替えではありません。実際、同様のシステムが搭載されているX2に1年乗りましたが、違和感を感じる場面は皆無でした。

エンジンはガソリンか?ディーゼルか?

個人的な趣味で言えば、2.0Lガソリンエンジン(B48A20A)が搭載されたモデルがいちばん好みですが、F60には全輪駆動のCOOPER Sか、さらに上のモデルであるJCWしか選択肢がありません。その上で、オススメとなるのはCOOPER SD ALL4です。

選択のポイントはズバリ、車体の大きさと駆動方式とエンジンの性能のバランス。X1/X2も同様、大きく重い車体を軽々と動かすだけの動力が欲しいところ。そうなると、ある程度の最大トルク性能を持つエンジンが必要となりますが、B47D20の190ps版が搭載されているSD ALLが一番それに近いスペックとなります。

ディーゼル特有の振動や音はどうしても気になるポイントですが、ガソリンエンジンと比べて回転フィーリングが落ちるというのは今は昔。最新のモデルはタコメーター見てようやくディーゼルと気がつくレベル。燃費性能は当たり前に上々ですし、強トルクエンジンは重い車体を走らせるには持ってこいとも言えます。言い換えれば、3気筒のガソリンエンジンを搭載するONEの場合、動力性能が不足かな?と思ってしまいます。

JCWとPHEVモデルは?

JCWならではの良さ、は確実に存在しているのですが・・・個人的には積極的に選ぶモデルではないような気がします。まず、絶対的な動力性能を求めるのであれば、F55 ClubmanのJCWのほうが良いでしょうし、一方、すぐ上にはX2 M35iが存在します。価格的には、F55が568万円、F60が605万円、F39が697万円とかなり差があるのは事実ですが、3車のスペックを並べて見てしまうと、わざわざF60のJCWを選ぶべき理由があまり見出せません。先代のR60もJCWとは名ばかりの内容でガッカリモデルでしたが、現行モデルもやっぱり同じような印象を持ちます。

PHEVモデルについては、私のように『充電できちゃう強力モーター搭載車』と捉えるかどうかでえらく考え方が変わる1台に思います。当然のことながら、単なるハイブリッド車として考えると、リチウムイオンバッテリー搭載による重量増が決して小さくない影響(と重量バランスの変化)を与えていますので、燃費性能だけ見ると、どう考えてもディーゼル車の方が買い。

一方で、自宅で充電ができる環境が構築でき、さらに普段は街乗りしかしないという方であれば十分買いの理由が生まれてきます。けれども、BMWには既に2シリーズアクティブツアラーに同じシステムを積んだ225xeが存在し、明らかにそっちのほうが使い勝手が良いはずですし、さらに身内のMINIからももうすぐ純EVの3ドアCOOPER SEが登場するでしょうから、そうなるとなおのことF60 SEの存在価値は薄くなります(笑)

私の場合、ガソリン車のX2が自宅に存在し、似たようなクルマを2台も欲しくないという偏屈な理由から、モーターで後輪を動かせる機構を面白がって買ったわけですが、そんな変なヤツが多いとは思えない・・・笑

オマケ:LCIが控えています

今年秋にはLCI版のCrossoverが発売されます。既にハッチバック・ClubmanがLCIモデルに切り替わっていますが、ようやくF60も後期モデルへ移行します。

他のモデルと同じく、ヘッドライトの内部構造が変更+機能向上、テールライトがユニオンジャックをモチーフにしたものに切り替わりますが、F60はバンパーとグリルも刷新されることで外観がガラリと変わります。バンパー意匠が大きく変わるLCIはF56/F55、F54では実施されなかった変更で、これはちょっと意外。ボディカラーも新色が追加されます。

内装も上位トリムは使用されるマテリアルが上質になり、カラーもJCW GPから採用が始まったデジタルクラスターメーターも搭載されます。地味な変更としては、iDriveディスプレイ周辺の意匠がフラット化されていたりします。

パワートレイン周りは既にイヤーモデルで改良済みのため大幅な変更はありませんが、現在新車購入を検討されている方は、在庫モデルを買うか、新型を待つかという絶妙なタイミングかと思います。コロナ禍の真っ只中で国内新車在庫がほぼ枯渇状態との情報もあり、なかなか難しいタイミングかもしれません。

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