2回目車検を前に乗り換えるかどうか考えるシリーズ。
F39 X2やF54 MINI Clubmanが採用しているUKL2プラットフォーム採用車は既にモデル末期を迎えており、順次新型に切り替わっていきます。X2も例外ではなく、次期型が開発テスト中。2023年後半には新型がデビューすると言われています。今回は次世代モデルはどうなるかに触れながら、乗り換え対象になるかどうかを考えてみます。
UKL2兄弟はそろそろ世代交代のパレード
BMW系モデルで最初にUKL2プラットフォームを採用したF45 2シリーズActiveTourerは今回も兄弟車で一番早く新型(U06)モデルに切り替わり済み。UKL2から派生したFAARプラットフォームを採用。FAARは今までの内燃機関・PHEVに加え、BEVも適応するものに進化しています。
2022年6月に登場したU06、パッと見の印象は先代モデルを継承しています。細部に目をやると大型キドニーグリルが採用されたことで迫力のあるフェイスに進化。全体的にシャープな造形になりました。内装に目を転じると、ダッシュボードに鎮座するカーブドディスプレイに代表される最新インフォテインメントシステムが搭載。中身についても、本国販売の内燃機関モデルに48vマイルドハイブリッドが搭載されるなど、着実な進化を遂げています。
では、他のBMW・MINIモデルはどのように進化するのでしょうか?
BMW:新型X1登場、そしてX2も登場間近
まず話の中心となるのがX1。2023年2月に新型となる3代目X1(U11)が登場しました。先代(F48)と同じく前輪駆動がベースとなり、全体的にキープコンセプトに思えるモデルになっています。F48が登場した直後はそれまで採用していた後輪駆動ベースをやめ、前輪駆動ベースになったことに対してネガティブな意見も見受けられましたが、結果的には成功モデルだったのではと思います。
曰く、市場はそこまで後輪駆動に拘っておらず、乗った時に感じるダイナミクスやサイズ感、BMWらしい内外装があれば駆動方式なんて気にしないというのが本音だったのでは?と。個人的にも、FF化によってBMWっぽさがなくなるものかな?と思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。
U06と同様、デザインは旧型の雰囲気を残しながらもFRバンパーやサイド下部、ボディサイドのキャラクターラインの処理をシンプルにしたことで、よりスタイリッシュな見た目になりました。サイズは全長4,500mm・全幅1835mm・全高1,645mm・ホイールベース2,690mmに。旧型比で全長が+45mm・全幅+15mm・全高+35mm・ホイールベース+20mmとなり、ほんの少しだけ大きくなっていますが使い勝手上はそこまで差はないでしょう。
旧型から大幅に変わったのがインテリア関係。先に発売されたU06と同じく、カーブドディスプレイの採用、エアコンやオーディオの物理ボタン削減、シフトレバー・iDriveコントローラー廃止など、上級モデルと同じ操作体系・インフォテインメント機能が搭載されたことが大きなトピックでしょう。物理ボタンが減った分、音声認識機能を使いこなしなさいということなんですね。慣れれば使いやすいと思いますが、最初は戸惑いそう・・・。
もうひとつのトピックは、BEVモデルのiX1が登場したことです。F48はガソリン・ディーゼルに加えPHEV(※日本未導入)がありましたが、新型はBEVが追加。床下に巨大なバッテリーを搭載しています。なお、今回日本導入されたのは2.0L直列4気筒DOHCガソリンエンジン(B48A20P)とBEVモデルの2種類のみ。本国にはPHEVモデルやディーゼルモデルの設定がありますが今回は導入されず。また、U06と同じく現状は48vマイルドハイブリッド非搭載。今後、本国モデルに準じたモノが追加導入されるのかもしれませんね。
個人的に惹かれるのが、ようやく国内仕様でもharman/kardonオーディオやステアリングヒーターなどの豪華装備が装備できるようになったこと。現行F39はダコタレザーシート・アダプティブヘッドライトなどとセットで装備できる7スピーカーのHiFiオーディオがありますが、音質は標準よりだいぶ良いもののharman/kardonほどのクオリティではありません。
そして今年後半には、いよいよ2代目X2(U10)が登場予定。次はどんなモデルになるだろうか?とワクワクして待っていたのですが・・・次期型はF39のハッチバック的なスタイルではなく、X6やX4のようなクーペスタイルになるようです。
F39とF48の関係性と同じく、内装はU10と共通意匠となるだろうと推測。U10との違いはMパフォーマンスのようなスポーツモデルが用意されることでしょうか。装備レベルはF39よりも格段に向上しているのですが、個人的にはいかんせんクーペスタイルが好きになれそうもありません。今の『背が低いハッチバック然としたSUV』が結構好みなので・・・。
今現在、U10とU11で判明している違いはこのU10からiDriveがOS9になるとのこと。OS8まではLinuxがベースとなっていましたが、OS9からはLinuxベースのAndroidが搭載されることになるようです。Android搭載に当たっては機能拡充という面と開発コスト削減という両方の理由があると思われますが、どのようにAndroidの利点を活かしていくのでしょうか。
・・・そう思うと、iDrive6を搭載しているF39がやたらと古く見えますね。ちょっと前までは最新だったのに、進化のスピードが凄まじい。
MINI:さらに大きくなったSUVモデル+小型SUVモデルが登場?
U11/U10のデビューとそう遅れない頃に、MINI Countrymanも新型(U25)にモデルチェンジします。現行F60に比べて更に大きくなる車体はパワートレインもU11に準じてEV、ガソリン、ディーゼルと多種用意されるとのこと。F60ですら『MINIとしてはちょっとデカいなぁ』と思う私にとっては、あまり気が進みません。X1と似たディメンションになることが想像できます。
そんな『大きすぎてMINIじゃない!』と思う人に朗報?なのがACEMANの登場。まだコンセプトモデルの段階ですが、サイズとしては全長4,050mm/全幅1,990mm/全高1,590mmとコンパクト。全幅が凄く広いですが、市販版はもう少し縮小されるのでは?と思います。サイズ感としては、初代Countryman(R60)に近いぐらいのサイズ。これぐらいでいいのよ。
コンセプトモデルの内装はあまりにスッキリとし過ぎていますが・・・ダッシュボード真ん中に設置された円形ディスプレイは市販版でも採用されるような気がします。X1と同じく、物理ボタンが大幅に削減された内装となるのでしょうか。
ただ、このACEMANはEV専用モデルとなるそう。PHEVモデルに乗る身としては、充電インフラが行き届いていない+電気料金が上がり続けている中でフルEVを購入するのはちょっと敬遠かなぁ。B48の3気筒エンジン積んでくれれば最高なんだけど・・・。
X2を乗り換えたくなるほどのメリットは何がある?
BMW・MINI共に今年は新型モデルが続々登場というところですが、現行X2を売り払ってまで買いたい!と思うかと言われれば・・・X1は先代が大幅にイメージチェンジしたのでキープコンセプト、MINI CROSSOVERは大型化、MINI CLUBMANはディスコン、X2はクーペ感を増したモデルに切り替わり。各社を俯瞰的に見ると『ちょっと微妙だなぁ』というのが率直な感想です。そこで、今のX2に足りないと思う要素を考察して次期愛車を検討してみます。
パワートレイン
今のヨメ氏の使い方+生活環境を鑑みると、ベストチョイスは依然ガソリンエンジン搭載車と思います。1日の走行距離は少なめ(乗らない日もある)ことを考えればBEVでも問題ないのですが、やはり充電インフラの問題や、駆動用バッテリーの交換価格があまりに高すぎる(F60 PHEVのバッテリーでも100万円近い価格だそうです)ことがネックになります。
コスト面や性能から考えれば、本当はディーゼルが最も魅力的なチョイス。ですが1回の乗車が短距離・短時間となるヨメ氏の使用状況には適していない気がします。そう思う理由に、ディーゼルエンジンのカーボン蓄積があります。現行のモジュラー化される前のBMWディーゼルエンジンでは、スピードレンジの低い短距離走行が多いとDPFやインテーク(EGR)内部にカーボンが多量に蓄積、エンジンが不調になるという事象が多いと聞きます。
実際、旧型MINI CROSSOVER(R60)のディーゼルモデルは、当初は燃費が良くトルクフルという触れ込みで売れましたが、その後不調に陥る個体が続出。定期的にまとまった時間をかけて高速走行すれば調子は落ちないのですが、日本じゃなかなかそういう使い方になりませんからね・・・。もっとも、ガソリンエンジンでもカーボン蓄積が問題になることがありますから、あまり気にしすぎるのも良くないのかもしれません。
記事をまとめている最中にBMWディーゼルエンジンのリコールが発表されました。EGRモジュールの耐久度に起因したインテークのカーボン蓄積、最悪は火災の恐れという内容。あくまで冷却水漏れが原因とのことですがリコール対応がプログラム書き換えのみ・・・。まぁ、ねぇ。
安全装備:さすがに時代遅れ
UKL2兄弟がデビューしはじめた頃は先進安全デバイスが普及帯にも装備され始めた頃。F39も自動ブレーキやACCが搭載されていますが、単眼カメラを用いたタイプのため性能はそこまで高くありません。レーンキーピングもなく逸脱警告のみ。ブラインドスポットモニターやレーンチェンジウォーニング機能もありません。
一方、最新型U11にはこれらの装備が(当然に)標準装備。テクノロジーPKGを選択することで上級車種に装備されている渋滞時ハンズフリー支援機能が搭載可能。ウィンカーを操作することで自動的に車線変更をするレーンチェンジアシスト機能も装備されます。
地味にいいなぁと思うのが、トップビューや3Dビュー機能。日本ではアラウンドビューモニターと呼ばれる全周囲型カメラですが、車庫入れが苦手なヨメ氏にはこういう機能がとても役に立つでしょう。地味に役立つシチュエーションとしては、ゲート型洗車機を使用する際、ど真ん中にクルマを止められますね。私自身、年々運転が下手になってきた気がするので歓迎かな(笑
サイズ
どのメーカー、どのモデルもフルモデルチェンジするたびに少しずつサイズが肥大化していく傾向が続いています。個人的には、日本の駐車場事情や道路インフラ事情を考えると都市部で動き回るにはBセグが適性サイズ、大きくてもCセグメントが上限かなぁと思っています。そのCセグメントも、今や全幅1,800mmを超えるのが当たり前に。年々厳しくなる衝突安全アセスメントに対応するためには致し方ない部分もあるんでしょうが、以前のCセグモデルがDセグに食い込んできているのは間違いありません。
それに加え、猫も杓子もSUV・クロスオーバー時代。背高モデルが増殖し、旧来のステーションワゴンが減っているのは以前も記事にしたとおり。世界的なトレンドとライバルとの差別化のためには致し方ないんでしょうが、必要以上に背が高いモデルはちょっと敬遠してしまいます。
スペック表だけ見て買うわけじゃないけど・・・
と、新型BMW・MINIモデルをチェックしてみましたが、気になる・羨ましいポイントはあれどわざわざ買い替えるまでの魅力があるとは言えないのが正直な感想。スペックは進化していると思うんだけど、今のをすぐ売り払ってまで買いたい!という気にはなれません。
なんて思っていた矢先、ヨメ氏から驚きの発言・・・まだ続きます。
コメント
X2は四輪駆動ですが、前後の駆動配分は状況によって変わる感じでしょうか?
絶えず50:50の配分では無いかと思いますが。
わかる範囲でお答えします。
おっしゃるとおり、状況によって変わります。Haldexの第5世代カップリングをベースにしたシステムですので、理論上は0:100から100:0まで配分可能のようですが、エネルギー効率のため基本的は前輪駆動とのこと。
(以下、手元にある資料から要約します)
後輪への駆動力配分はDSCが判断しています。判断項目は車速・縦横方向の加速度・ブレーキ制御・ステアリング角度・スロットル開度・ドライビングプログラムの選択状況などをセンサリングしています。
判断基準はアンダーステア・前後輪速度差・車両傾斜・キックダウン操作・スポーツ運転かどうかなどによって判断しています。また、車速が高くステアリング角度が大きいときやABSが作動する強いブレーキング時は配分されません。
とのことです。
駆動力配分モニターがないので、乗ってみてもあまりよくわからないというのが私の感想です・・・。積極的に後輪を駆動させているような気はしますが・・・