PEUGEOT RIFTER/CITROEN BERLINGOに買い替え?と思いきや、試乗直後に「やっぱり背の低いクルマが良い」というヨメ氏のひとことからX2続投がほぼ確定ムード。その数日後、再び「とある目的」でPEUGEOT/CITROENディーラーを訪れることに。そして、そこで出会った1台が再びヨメ氏の気持ちを揺さぶることになります・・・。
我が家とDS Automobile
再びディーラーを訪れた理由。それは待望のDS STOREが北海道上陸を果たしたからです。
2009年にCITROENの高級サブブランドとして発足したDSは、2014年に独立ブランド化を発表します。それまでCITROEN店舗で購入できたDSブランドのクルマはそれ以降、独立専売拠点でのみ販売されることになりました。それに合わせた専売拠点ネットワークの整備は2012年からお隣の国・中国で先行スタート。日本では2017年から専売拠点開設が始まりましたが、2022年末時点で12店舗という少なさ。北海道でも長らく開設されていませんでした。
そんな中、2023年3月に北海道で唯一正規ディーラーを展開している法人が、札幌市内に2店舗目のPEUGEOT/CITROENディーラーの開設に合わせ、北海道初上陸となるDS STOREが開設されました。これでようやく実物のDSモデルに触れられるようになり嬉しい限り。
DS STORE開設をヨメ氏に伝えたところ『とても興味がある、行ってみたい』というリアクションでしたので、RIFTER試乗の数日後でしたが、新拠点(DS STORE)へ赴くことにしました。
DS4に注目
さて、かねてより私がDS STOREで実物をチェックしたかったクルマがあります。それが今回の本題となる新型DS4です。チェックしたかった理由は単純で『X2に似ている』と思ったため。もしかすると乗り換え候補に成り得るかも?という気持ちもあり、一度実物を見てみたいなぁと思っていました。
旧型はちょっとアレな1台
先代DS4はCITROEN C4をベースに、クーペライクな意匠を持つデザインを纏って登場したモデル。サイドからの見た目を重視するために後部ドアの窓を開閉できない「はめ殺し仕様」を採用したことに賛否ありましたが、デビューした2011年には国際自動車フェスティバルにてMost Beautiful Car of the Yearを受賞しています。
2016年に実施フェイスリフトでは他のモデルと同様にフロントマスクをダブルシェブロンからDSフェイスに変更。併せてヘッドライトを新形状LEDヘッドライトに刷新しています。同時に車高を引き上げSUVテイストを高めたCROSSBACKも登場しラインナップを強化していました。
パワートレインはベースとなったC4と同様、BMWと共同開発された1.6Lガソリン4気筒ターボの「プリンス」エンジンを搭載。グレードによって6速AT(最初期モデルのみ6速AMT)または6速MTを組み合わせていました。他モデルはモデルライフ途中で1.2L 3気筒EBエンジンに換装されましたが、C4・DS4は搭載されず。ディーゼル仕様については、フェイスリフトに時に2.0L 4気筒ディーゼルエンジンを追加設定。
個性的なスタイルをウリに登場した同車ですが、販売は低迷し2018年には販売が終了。先にデビューしたDS3よりも短命なモデルライフという結果に。そして、次期型が登場するまで3年も空白期間を経ることになります。
X2に似ている?
新型DS4はEMP2の最新バージョンをベースにしながらも、内外装は他のモデルと異なる完全オリジナル。内外装ともに独創的な仕上げが随所に見られます。ですが、全体的なサイズ感や車体フォルムはX2にとてもよく似ている気がしています。
どちらも、チョップドルーフのように低いルーフラインを持ちながら、グリーンハウスより下は分厚くハッチバック型のリアスタイルを持っている点が共通。結構似ているような気がしたので↑並べてみると・・・やっぱり結構似ています。
スペックを調べてみたら
BMW F39 X2 xDrive20i | MINI F60 CP SE ALL4 | BMW U11 X1 xDrive20i | BMW U11 X1 xDrive30e | DS DS4 RIVOLI PureTech | DS DS4 RIVOLI BlueHDi | DS DS4 RIVOLI E-TENSE | |
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全長(mm) | 4,375 | 4,315 | 4,500 | ← | 4,415 | ← | ← |
全幅(mm) | 1,825 | 1,820 | 1,835 | ← | 1,830 | ← | ← |
全高(mm) | 1,535 | 1,820 | 1,645 | ← | 1,495 | ← | ← |
ホイールベース(mm) | 2,670 | 2,670 | 2,690 | ← | 2,680 | ← | ← |
車両重量(kg) | 1,620 | 1,770 | 1,640 | 1,930 | 1,420 | 1,470 | 1,760 |
トランク容量(L) | 470 | 405 | 540 | 490 | 430 | ← | 390 |
最小回転半径(m) | 5.1 | 5.4 | 5.4 | ← | 5.5 | ← | ← |
エンジン種類 | 直4DOHC ターボ | 直3DOHC ターボ | 直4DOHC ターボ | 直3DOHC ターボ | 直3DOHC ターボ | 直4DOHC ターボ | 直4DOHC ターボ |
排気量(cc) | 1,998 | 1,498 | 1,998 | 1,498 | 1,199 | 1,498 | 1,598 |
最高出力(ps/rpm) | 192/5,000 | 136/4,400 | 204/5,000 | 136/4,400 | 130/5,500 | 130/3,750 | 180/6,000 |
最大トルク(Nm/rpm) | 280/1,350 | 130/3,750 | 300/1,450 | 230/1,500 | 230/1,750 | 300/1,750 | 250/1,750 |
モーター最高出力(ps) | - | 88 | - | 109 | - | - | 110 |
モーター最大トルク(Nm) | - | 165 | - | 247 | - | - | 320 |
バッテリー総電力(kWh) | - | 10.07 | - | 14.2 | - | - | 12.4 |
駆動方式 | AWD | AWD | AWD | AWD | FF | FF | FF |
トランスミッション | 8速AT | 6速AT | 7速DCT | 7速DCT | 8速AT | 8速AT | 8速AT |
WLTC燃費(km/L) | 11.4 | 14.8 | 14.3 | - | 17.7 | 22.6 | 16.4 |
プラグインレンジ (km) | - | 53 | - | 89 | - | - | 56 |
タイヤサイズ | 225/45R19 | 225/50R18 | 225/50R18 | ← | 205/55R19 | ← | ← |
車両本体価格 | 5,360,000 | 5,110,000 | 5,560,000 | - | 4,779,000 | 4,985,000 | 6,046,000 |
詳しく比較するためスペックを表にまとめてみました。その結果、ボディサイズはX2比で40mm長く・5mm幅広く・40mm低いという結果。ホイールベースも10mmしか変わらず、やはり見た感じで受けた印象と実際のスペックにほとんど違いありません。X2は2018年(コンセプトモデルは2016年)登場モデルですから、開発時に多少は意識した部分もあるのでしょうかね?
一方、両車の明確な違いはトランク部分。X2より容量が少なく、荷室形状も開口部とフラットになる機構がなく使い勝手はX2のほうが上。荷室の使いやすさがX2の良いところでもあります。
フォルムは似ていてもシャープさが際立つ外装
サイズがほぼ一緒なのにDS4のほうが小さく見えるのは、ボディ随所のラインがシャープで伸びやかな印象があるからでしょうか。DS自ら『アートフォルム』と名乗るだけあります。その実力は2022年1月に開催された国際自動車フェスティバルにてMost Beautiful Car of the Yearに輝いたことで証明されました。前述のとおり先代に引き続きの受賞は名誉あることでしょう。
他に似ているものが見つからない独創的な内装
DS4一番の見所はインテリアの設えではないでしょうか。フロント2座をぐるりと囲むようなインパネ形状、「サーベル」と称された中央エアコンアウトレットと操作系が一体化された構造、液晶モニターの存在を目立たせずインパネに内包した部分など、随所に独創性を感じます。
より特徴的なのが、ドア部のスイッチパネルの位置と造形です。ダッシュボードから続く造形がスイッチ類の配置部に続く造形は他に見たことがありません。そのスイッチ類も「クル・ド・パリ」と称する文様でメッキ装飾されています。これは高級化粧品にインスピレーションされたもので、車内随所に配されたスイッチや装飾にモチーフされ独特の雰囲気を醸し出す大きな要因となっています。
使用されているマテリアルも上質で、ダッシュボードやドアトリムにはテップレザー(合成皮)が広範囲に奢られているうえ、スイッチ類もメッキを多用。Cセグメント車としては異例なほどに高級感を演出しています。ここまで内外装が独創的だと、乗る人間のファッションセンスも問われます(苦笑
シートについてもフランス車らしくたっぷりと身体を包み込むような設え。展示車で座ってみた限りは良さそうな印象を受けます。シート表皮のラインナップは5種類。ただし現状日本で購入できるモデルはハーフテップレザー(タングステンダイアモンドクロス)またはバサルトブラックレザーの2種のみ。本国にはパールグレーレザーシート、ウォッチストライプをイメージしたナッパレザーの最高級仕様のほか、アルカンタラを使用したシート(後述)も設定があります。
PSA系車種は長らくモニターが搭載されるもののナビ機能は搭載されないものでしたが、ついにヨーロッパ仕様のナビゲーションと同じオランダTomTom社製のナビゲーションが搭載されました。これにより本国仕様と同等のインフォテインメント機能が享受できます。
ですが現時点では、同じTomTom社製ナビが搭載されている新型308のレビューを見る限り、ルーティングや案内が日本製ナビに比べて劣るという評価が多く見受けられます。Apple CarPlayに対応しているのでそちらを使う方が幸せになれるかもしれません。
なお、DS4の上級車種には手元で各種操作ができるDS Smart Touchが搭載されています。初見は『コレで何をすればいいんだ?』と困惑しましたが、いわばラップトップPCのタッチパッドのように使えるというもの。スクリーンの位置がドライバーから少し遠いので、ここに操作ツールがあるのは歓迎すべきと思います。
パワートレインの考え方は全く別モノ
一方、両車で大きく異なるのがパワートレインの設定。X2は1.8L~2.0Lガソリンとディーゼル、1.5Lガソリン+PHEV(※日本未導入)が用意され、エンジンにより7速DCT・8速ATを組み合わせています。駆動方式もエンジンによってFFとAWDがチョイスできます。一方DS4は1.2Lガソリン、1.5Lディーゼル、1.6Lガソリン+PHEVの3種を設定。駆動方式はいつもどおりFFのみ。
注目なのが、DS4に搭載される1.2L PureTech3気筒ガソリンエンジン。この車体にこのエンジンはさすがにオソいのでは?という気がするのですが、AWDのX2よりも200kgも軽いこと+燃費性能も高いことを考えれば「ありえない」選択肢ではないはず。ですがやっぱり本命は1.5L BlueHDiディーゼルエンジンを搭載した仕様でしょう。
それよりもモアパワーなのがPHEV仕様です。かつてBMWと共同開発した1.6L 4気筒ガソリンターボエンジン(プリンスエンジン)に110psを発揮するモーターを組み合わせており、システム総出力225ps、総トルク360Nmを誇ります。一方でガソリン仕様から120万円以上高いプライスとなるため・・・積極的に選択する仕様じゃないなぁという印象です。
上級車にふさわしい装備も多数
数ある装備で一番心惹かれるのが、上級グレードに装備されるFOCAL Electra 14スピーカーシステムです。以前所有していたDS3は「HiFiスピーカーシステム」と銘打たれた8スピーカーシステムが奢られていたのですが、肝心の音が凡庸なガッカリ装備でした。現在はフランスに本社を置くハイエンドオーディオメーカーFOCALとタッグを組んだシステムに進化。装備されるスピーカー数も然ることながら、690W出力のアンプも期待大といったところ。
もうひとつ気になる装備として、アクティブスキャンサスペンションがあります。
フロントガラス上部に設置された立体カメラで20m先の路面をスキャン。10mmを超える凹凸を特定。車速・加速度・ステアリング角度などのセンサーデータを組み合わせて判断、ダンパー上部にある電動ソレノイドバルブを調節し、伸び・縮み共に最適なダンパー減衰を即座に変化させるという仕組みです。これにより、ギャップ乗り越え時のボディ上下運動を穏やかにしてくれる効果が期待できます。
同様の仕組みは2013年頃よりMercedes-Benz上位モデルに「マジックボディコントロール」として搭載されています。こちらはギャップの乗り越え時だけでなく発進・停止・コーナリング時の姿勢制御も行っており、DS搭載版は簡素版のようなもの。それでもCセグメント車種にこの機能を搭載するあたりにDSのこだわりを感じます。
もうひとつ気になっているのが、DSナイトビジョンです。赤外線カメラにより前方の歩行者・動物を認識、警告を発する機能です。ナイトビジョン自体は新しい技術ではありませんが、以前実家で保有していた4代目ホンダ・レジェンドに搭載されていたことを思い出します。当時のナイトビジョンはまだまだ過渡期。世界初搭載の機能として歩行者検知・警告機能が搭載されていましたが、実用性はいまひとつ。そもそも田舎だったので夜間に歩行者がいないというオチですけど(笑
歩行者に加え自転車や動物も検知するようになったことで、野生動物との衝突事故が多い北海道では十分に使えるものでは?と想像しています。フル液晶メーターにナイトビジョン映像をメーター内に表示できるのも期待大です。ただし日本仕様では最初期に導入されたLA PREMIEREのみ装備で、現行仕様はオプション設定なし。上位グレード(Opera?)追加時に装備されることを期待。
追加モデルも限定車で導入されるか?
なお、DS4には2台の日本未導入のモデルが存在します。
ひとつめは標準車よりもオフロード感を強調したDS4 CROSSです。グロスブラックのルーフバーやフロント・リアのブラックバンパーとスキッドプレートの組み合わせでSUVテイストを強めています。足回りに違いはないようで車高アップなどはされていません。プレス発表時に公開された写真では我が家のX2に似たゴールド系ボディカラーに塗られており「ますます似ている!」と思ったのですが、現在このボディカラーの設定はありません・・・。
もう1台がDS4 PERFORMANCE LINEです。こちらはメッキ加飾を減らしグロスブラック化したエクステリアが中心。内装はベースモデルと異なり、アルカンタラ張りのシートが奢られています。下位モデルのDS3 CROSSBACK PERFORMANCE LINEはEB2のハイチューン版エンジンが搭載されていましたが、こちらは通常モデルと同様のエンジンが搭載されています。
どちらも今後、特別仕様車として導入されるのではないでしょうか。
こいつはとてもとても気になる1台!
こうして色々とみていくと、Cセグメントのクロスオーバー車としてはとても魅力的な1台に思います。ベースこそPEUGEOT/CITROENのモデルですが、以前と異なりプラットフォームやパワートレインのみ共有され、内外装やフットワークは完全オリジナル仕様。ようやくDS=グループ内の高級ブランドに位置づけられているだけあります。
この内容にヨメ氏は結構ノリノリ。最初こそRIFTER/BERLINGOが・・・なんて言ってましたが、元DSオーナーとしてこのクルマは「かなり気になる1台」とのこと。実際、ショールームに展示されていたモデルを長々と眺めてはアレコレ弄っていましたし、珍しく自分から試乗したいと切り出したところを見るに、乗り換え候補第1位なのは間違いありません。
ちなみに前回訪問時には試乗車が配備されていなかったのですが、後日確認すると1.2Lガソリンの試乗車が配備されたとのこと。時間ができたらヨメ氏と試乗してみようと思います。
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