F60タイヤ選び2023(冒険してみた篇)

MINI F60
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見事なまでのセンター減りにより、結局ワンシーズンでダメになったMICHELIN PRIMACY 4。2023年夏シーズンを迎えるにあたり、またタイヤを新調しないといけません。

そんな中、2023年の北海道は異例なほどに雪解けが早く、3月末には積雪ゼロ。平均気温も高めの推移が続き、4月に入ってからは最高気温が10℃を大きく上回る日が続きます。例年であればゴールデンウィークを過ぎたあたりがスタッドレスタイヤの交換適期ですが、気温が高く積雪も凍結もない状態で乗り回すことでタイヤの消耗を進めたくないと考え、結局4月中旬に廃棄予定だったPRIMACY4を引っ張り出して履くことにしました。

1mmほどの摩耗差ですが、ハンドリングや直進安定性に与える影響は過大です。

センター摩耗が進んだPRIMACY 4は一応走る状態ではあるものの、PRIMACY 4の良さがぱったり消えワンダリング多発。この状態で安定的にまっすぐ走るのは難しく、常に修正舵が必要な状態にあります。このままではよろしくないと思い、あわててタイヤ調達に走ります。

普段なら絶対買わないであろうタイヤはどうなんだ?

※今回装着したものではありません(同じ店舗にあった別サイズの展示品)

さて、昨今の資源価格高騰は他人事ではなく、零細企な我が社もじわりじわりとダメージを受けています。クルマがないと仕事にならないため出費やむなしなのですが、毎月のガソリン代が痛いです。それに加え、年々高くなるタイヤ価格も馬鹿になりません。

前回の教訓を踏まえ、今回は新品タイヤ調達を検討していたものの、見事に調達価格が上昇。参考値としてウォッチし続けているコストコ価格も1年前に比べ約1割アップしており、必要投資なのにもかかわらず買うのをためらってしまいます。

もっとも零細企業はクルマばかりに経費投下するわけにもいきませんので、今回も中古品で我慢かなぁとヤフオクをウォッチングし続けますが目ぼしい出品が見つかりません。PRIMACYに絞ると、カローラクロス・ヴェゼルOEタイヤ(225/50R18 95V)の新車外しがちらほら。価格は4本で8万円程度で落札できそう。多少は懐に優しいけど、本来欲しいスペックではないしなぁ・・・と悩む日々。

そんな中、ふと目に入ったタイヤ販売店チラシで発見。

実際のチラシを抜粋

や、安い!!!4本で35,200円って・・・1本1万円を切るプライスじゃないか!

Hankook Ventus V12 evo2

1本1万円切りの衝撃価格。PRIMACY 4は4本で10万円オーバー確実なのに、こちらは3分の1程度の価格とは・・・コレはさすがに無視できないぞ。仮にこのタイヤが耳に覚えのないメーカーのモノであればスルーするところですが、製造元は韓国最大手タイヤメーカーのHankook製。

Hankookに対する私の認知レベルは「BMW/MINIにOEタイヤを供給するメーカー」「日本メーカーやMICHELIN、PIRELLIより安価」程度。そもそもHankookを含めたアジアンタイア全体に「安かろう悪かろう」という印象を持っており敬遠していたぐらい。

とはいえ、装着車両をドライブした経験はほとんどありません。この値段で購入できるのであれば、Hankookタイヤがどんなものかを試してみる良いきっかけかも・・・と頭の中で考えを巡らせます。仮に失敗チョイスだったとしても『まぁ、安かったし・・・』と思える範疇かなと思ったので、こういうときは勢いまかせしかありません。チラシの販売店に赴き在庫を確認してみたら、

販売店の人
販売店の人

店頭展示している1セットだけ在庫あります。

本日は全く混んでないので即交換できますよ!

はい、勢いまかせで購入です。

購入したのはHankook Ventus V12 evo2 225/50R18 99Y XLです。店頭で即決した後に(笑)作業待ちの時間を活用してみんカラやクチコミサイトのレビューをウォッチング。概ね高評価が並んでおり期待が膨らみます。公式サイトでは、Ventusシリーズをプレミアム高性能タイヤのブランドとしているとのこと。バリエーションが複数あり、純正OE採用が多いのがS1 evo3、コンフォート寄りがPrime4、スポーツ寄りがV12 evo2というカテゴライズの模様。

ラベリングとUTQGをチェックしてみる

ついでにラベリング情報についても調べてみました。EUラベリングは、今回購入したサイズの情報なく、近似サイズの情報を確認。おおむね、転がり:C~D、ウェット:A、騒音:70~72程度。MICHELIN PILOT SPORT 4とほぼ同じスコアでした。なお、日本ラベリングは公表されていません。

UTQG表示については、TREADWEAR 320/TRACTION AA/TEMPERATURE Aでした。PRIMACY 4は340/A/Aとなっており、このスコア的にはほぼ差のないタイヤであるという見方ができます。

製造国と製造年月

生産国はHankookのお膝元の韓国。製造年月は2022年44週=10〜11月でした。店頭展示在庫だったのでタイヤが古いかも?と不安に思いましたが全く問題ないでしょう。

その結果は・・・想像と違って・・・

待ち時間ゼロのタイミングで来店したため、入店から退店まで30分程度で終了。あっけなくニュータイヤ購入&装着完了です。タイヤ店駐車場を出発して数分で、こう思いました。

あれ?これはもしかして・・・良いタイヤかもしれないぞ・・・?

それが確信に変わるまではそう時間がかかりませんでした。乗れば乗るほど、感心するデキであるということがわかるタイヤです。思わず驚きの感情を独り言してしまうぐらい。

直進安定性:優秀です

高速移動が多い社用車にとって一番重要なのが直進安定性。これについては、路面状態に左右されず終始良好です。きれいに整備された舗装路だけでなく、大量にパッチ補修された路面やわだち掘れが起きた路面であっても安定感は損なわれません。

あえて重箱の隅をつつくような見方をすると、PRIMACY 4よりステアリング中立からのコーナリングパワーの立ち上がりがやや敏感な気がします。ステアリング中立の遊び感が少ないのは良い感じですが、そこから微少舵を当てていった際の反応が早め。緩やかな変化をするPRIMACYのほうが扱いやすく感じますが、普通に乗る分には気になるレベルではありません。

静粛性:PRIMACYよりほんの少し劣るがOK

次に静粛性ですが、十分に静かな部類に思います。購入直後のPRIMACY 4を思い出しながら考えても、ロードノイズはかなり抑え込まれているように思います。橋のジョイントなどを超える時に聞こえる空洞共鳴音も小さく、不快に感じることはありません。

操縦性:かなり良好

交換翌日にはさっそく600kmの移動、高速移動と峠道走行を中心に走ってみました。まだ慣らしが終わっていないのでハードな走り方はせず終始穏やかな運転を心がけて走ってみましたが、グリップ感はPRIMACY 4より感じられます。ですが想像していたよりもコンフォート寄りかもしれません。

ステアリングの切り込みに対する応答は不自然さがなく、コーナリングパワーの変化は極めてスムーズで不満ありません。PRIMACY 4に勝っている点としては、荒れた路面やジョイントのあるカーブでの走行中にグリップが一瞬抜けるような動きがないことです。

乗り心地:しなやかさがあります

ネット上の評判を見ていくと「サイドウォールは硬くも柔くもなく」というものが見受けられますが、同意見です。ちょうど良いレベルに仕立てられているのではないでしょうか。PRIMACY 4のほうが少し硬く感じます。規定空気圧時の段差やギャップ超えはしなかやに去なしてくれる印象があります。

また、このタイヤはMICHELINと同じく軽点やユニフォミティの表示(サイドウォールの黄丸・赤丸)がありません。きっちりバランスが取れるか心配でしたが、こちらも問題ありませんでした。綺麗に回ってくれており、ゴロゴロ感は皆無です。

自分用備考:新品時の残溝

センター部:8mm、両サイド部:7.3mm

この価格でこの内容は衝撃以外の何者でもない!

改めてですが、失敗覚悟で買ったタイヤがこんなにもよく出来ていることに驚きを隠せません。

トータル性能はPRIMACY 4のほうが良いと思う一方、Ventusが明確に劣っている部分はなく相当優秀なタイヤに思います。このデキのタイヤがPRIMACY 4の半額以下で購入できるのであれば・・・こちらのほうが良い買い物だったと思わずにいられません。

一方で購入前の想像と違ったのが、スポーツ・パフォーマンス系の見た目をしている割に、中身は意外とコンフォート寄りだった点。トレッドだけ見るとグリップ系なんですが、乗った印象はかなり違いました。

「安かろう悪かろう」というアジアンタイヤに対する先入観から今まで完全スルーだったHankookですが、実際は価格以上に良いものであると実感できました。あとは経年劣化と耐久性が良ければ言うことありませんが、どうなるでしょうか。

ちなみにサイドウォールに「Alignment Indicator」と表記があり、トレッド面に穴が開けられています。何のため?と思ったら、イン側とアウト側に偏摩耗が起きているかどうかを容易にチェックするために設けられているとのこと。細かい気配りがいいですね。

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