社用車選び|スバル・レガシィアウトバック

レンタカー
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良心的なクルマが揃うスバル車。今回はフラッグシップでありスバルの金字塔でもあるレガシィアウトバックを借り、800kmほど走り込んで来ました。

車名:スバル レガシィアウトバック Limited
年式:2020年式(アプライドF)
エンジン:2.5L 4気筒DOHC直噴水平対向エンジン
駆動方式:AWD
ボディカラー:クリスタルブラック・シリカ
主なオプション:レスパッケージ(後退時ブレーキアシスト、後側方警戒支援システム、フロント&サイドビューモニター、リヤビューカメラが非搭載)
タイヤ:ブリヂストン DUELER H/P SPORT(225/60R18)※純正OE

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アメリカでは既に7代目となる新型がデビュー済みですが、日本では6代目となる旧型が継続販売されています。スバル流でいうアプライドFモデルなので、これが最終モデルとなるでしょう。2014年10月に発売されたので、6年近く販売されていたことになります。

モデルチェンジの度に大型化しているので今や堂々たるサイズ感になったなぁと思う見た目ですが、たまたま同時に同じ会社のスタッフが借りたスバルXVと並べてみると…意外とそこまでデカくない。大きく見えるデザインなのかもしれません。言い換えればインプレッサ(XV)が大きいんでしょうけど。かつてのレガシィぐらいのサイズですし。

エンジン・パワートレイン

画像拝借

熟成のFB25ボクサーエンジン(ただし8割刷新)

まずエンジン。個人的には『レガシィといえばターボエンジン』というイメージがありますが、このモデルに搭載されているのは2.5L水平対向4気筒の自然吸気エンジンFB25だけ。先代まではターボモデルがありましたが、現行モデルより自然吸気に一本化されたようです。

で、このFB25エンジン。日本国内では先代レガシィの後期型や7人乗りミニバンエクシーガから搭載され始めたエンジン。登場は2012年ということで、8年前デビュー。数年前は業務利用でエクシーガクロスオーバー7をしょっちゅう乗りまわしていましたが、パワー・トルク感共にそこそこに良く、2.5Lエンジンの割に燃費もそこそこで『ボクサー、やるじゃん!』と驚いた記憶があります。

現行レガシィに搭載されているものは旧型から8割の部品が刷新されているそう。圧縮比変更やピストンの変更、各部の静粛性アップなどが図られているそう。もともとフィーリングが良いエンジンでしたが、久々に乗ると車格にマッチした良いエンジンでした。燃費性能も素晴らしいレベルではありませんが、十分許容範囲。

あまり好きではないけど、クルマの性質にはマッチしたCVT

そのエンジンに組み合わされているのはスバルおなじみのリニアトロニックCVT。レヴォーグあたりと一緒でステップ変速のように動くのですが、それならATにすればよいのに…と思う部分もありますが、アウトバックのゆったりとした車格にはマッチしていると思います。スバル車でよく気になる挙動(停止状態からゆっくり車速を上げていく際のスムーズさに欠け唐突にクルマが動く)も抑えられており、個人的にはモデル末期ならではの熟成感が好感触。

ただ、パワートレイン全体で見てみると、贅沢言えば過渡域のトルク感・ダイレクト感がいま一歩欠けているのが残念。これを解決するためにはe-Boxerのようなモーターアシストしか解決法がないのか・・・?

足回り・ハンドリング

画像拝借

日本製ダンパーを侮ってはいけない!

それよりも特筆したいのが足回り。KYBと共同開発したとされるスタブレックス・ライドの効果が非常に高く、乗り味は極めて快適。この乗り味は足回りだけでなくボディの構造強化やマウント類の見直し、スタビライザの使い方も先代から改良した結果とされていますが、突き上げ感ロール感が適切で、長距離移動の疲労感が少なく快適でした。

ダンパーの減衰特性を可変化したとの触れ込みですが、その効果はかなりあると思います。以前、スタブレックス・ライドが搭載されていないグレードのアウトバック(※廃止グレード)も乗ったことがありますが、そちらも足回りの印象はそれなりによかった。でもこの足回りはノーマル足より良く、他の国産車の中でもかなりレベルが高いと思います。

いちばんその印象がよかったのが、路面が通行車両の重量によって凹んでいる道。この轍を斜めに跨ぐような走り方をすると、大抵のクルマは頭が激しく左右に揺さぶられるような挙動示すのですが、アウトバックではそれが最小限に抑えられています。ダンパーの性能だけでなく、足回り構造すべてがこういった不快な挙動を抑え込む働きしているのでしょうね。

残念なタイヤ。乗るなら要交換か?

ハンドリング性能はまずまず。パワーステアリングの設えは悪くないのですが、タイヤの印象があまり好みではありません。装着されていたのはブリヂストン製DUELER H/P SPORTでしたが、もう少しシットリ走る感が欲しいです。グリップ感は悪くないのですが、高速域でのゴトゴト感が気になります。予算が許すなら、さっさとタイヤを変えてしまった方が幸せになれそう。

インテリア・荷室関係

ダッシュ周りは安定(悪い意味で)のスバル感

インテリアですが、安定のスバル感。もうモデル末期のクルマと言え、やっぱり少し寂しいというか・・・あまりに質実剛健というか安っぽいというか、表現に苦しむ内装です(笑)形状や素材感が格下のインプレッサとあまり大差がなく、素材も高級感に欠けます。決して安くないクルマですから、もう少しありがたみがあっても良いのでは?と思ってしまいます。

ちなみにですが、モデルライフ途中で多少の意匠変更が行われています。具体的には、センターパネルの意匠が変わったほか、ステアリングの意匠も変更(小径化されてます)されている他、細かい部分ではダッシュボードのステッチも1本から2本に。ただやっぱり、安っぽさが漂う部分はあまり変わっていません・・・。

シートのデキは良いが、滑るなぁ・・・

シートは本革仕様。形状やクッション感、長時間運転時の姿勢保持具合はそこそこ良いです。このクラスでの個人的最良シートは以前所有していたVWパサートですが、それよりちょっと劣るぐらい。ただし、スーツ姿で乗るとケツが滑ります。革仕様だから滑るというよりは、使われているマテリアルの問題と思います。これはステアリングに使われている本革も同様で、握ったときの感覚が手にしっとり馴染むという感じがなく、ああ本革ですよね、という感じ。

なお、シートについては下位グレード(B-SPORT)はウルトラスエード仕様なので、そっちを選ぶのもアリな気がします。

流石に時代に取り残されちゃっているインフォテイメント系

センターコンソール部は前期モデルと後期モデルでは意匠が変わっています。ナビ周りは8型ナビが収まるサイズで設えられていますが、基本はディーラーオプションのDIATONEサウンドナビを搭載する前提で作り込まれていますので、今回借りたレンタカーはちょっとスカスカ感。なお、前述のオプション『レスパッケージ』は社外ナビを装着したいときに選択するオプション。一部の安全装備は純正OPナビがないと動作できません。

ちなみにですが、前期型には12スピーカーのHarman/Kardon搭載が可能でしたが、後期型は廃止されています。その名残で、ダッシュボード中央にはセンタースピーカーグリルが残っています。この辺ももう少し工夫というか、あともう一歩頑張ってくれれば良いのに。

荷室は全く問題なしの広大さ

荷室はこんな感じ。何も問題ありません。グレードによりますが、パワーテールゲートも装備。ただし現在は一般的となった足先での開閉動作には非対応なのが時代を感じます。

総じて、ちょっと素っ気ない雰囲気を気にしなければロングドライブは苦じゃない室内環境というところ。細かい不満はありますが、致命的なマイナスはないでしょう。

安全性

旧世代だけど全く問題がないEyeSight(むしろ良い・・・笑)

安全装備については、Eyesightが標準装備。ただ、モデル末期ということもあり、現行のスバル車の中では1世代古いVer.3が搭載されています。が、ハンディはほとんど感じません。

特に、レーンキープ性能については最新のツーリングアシスト(TA)付きEyeSightよりもこちらのほうが扱いやすくて好きです。車線を読み取る性能はTA付きの新型より劣るので、ずっと中央維持し続けるというよりかはちょこちょこ制御OFFにはなってしまうのですが、人間が操作した際の『制御を切る』タイミングが、TAナシのほうが適切に思います。ちなみに、TA付き車両と同じく、アクティブクルーズコントロールは120km/h(設定値としては135km/h)まで上限が引き上げられているのも良心的。

でも、フラッグシップとしてはちょっと悲しいかも

ただ、注文をつけるポイントとしては、前述のとおり純正DIATONEナビを装着しないと後方自動ブレーキ機能やフロント・サイドビューモニターが機能しない点。これはかなり残念なポイント。レヴォーグやフォレスター等、スバルの他モデルはダッシュボード中央にマルチファンクションモニターがあるため、社外ナビを選択しても機能がオミットされることがないのですが、レガシィにはマルチファンクションが非搭載。全体的な雰囲気を重視したからなのかもしれませんが、『なぜレガシィだけないんだ?』と思われること必至。

まとめ・・・国産Dセグでは最高のデキ

800km乗り回した結果ですが、明確な不満はなく、全体的なまとまり感で言えばトップオブスバルと言えるだけのデキと思いますし、国産Dセグメントの中でも一番良いと言ってしまって過言ではないかと。というか、国産Dセグはほぼ死滅しちゃってますが・・・。

このクラスのベンチマークを何に置くかは難しいところではありますが、個人的に『ビジネスDセグの最高点』であるVWパサートと比較しても、互角のところにあると思います。

ただ、やっぱり地味さと中途半端さが気になります。乗っていて、感覚にビンビンブッ刺さる感はあまりありません。それが特徴でもあるのですが、このまとまり感に色気があれば絶対に買いなんだけどなぁ〜!というところ。そういう意味ではパサートも決して色気があるクルマではありませんが、そこまで質実剛健さがないところで『惜しい』感。

と、いうところで、選択肢にキープ。

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